入院

突然の入院。

病室のベッドはホテルのようで

君と過ごしたホテルを思い出す

真っ白なシーツほどお互いの温もりをダイレクトに伝わるものはないような気がした

使い込んだ柔らかい毛布とかより
体温で温もるこんな感触
無味無臭の白いシーツは互いの体の持ってる香りを際立たせるような感じで

シーツと肌が擦れるスベスベした感触で
あの夜を不覚にも思い出してしまう


『あれは嘘』


それはわかっている。

全てが真実に程遠いものだ。


嘘を染み込ませて眠るのに、私の脳内には何度も君が登場した

覚めないでと思う日もあれば出てこないでと思う日もあり…

目が覚めてまだ体がポカポカしている独りの温もりを二人のものとして抱きしめた


近頃はもう
涙も出なくなった

人間の体は正直だ

月日とともに体は反応を緩やかにする


心に刻まれた痛みを体がやわらげているのだ。