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黒澤明フィルムコンサート

2010年07月02日 22:25

仕事を珍しく定時に終わらせ、高速に車を走らせ、何とか間に合った、黒澤明フィルムコンサート

指揮はあの有名な西村智実さん。黒い燕尾服を着た彼女は颯爽として、カッコ良すぎた。


http://static.flickr.com/4081/4754930334_5d96a1b722_o.jpg

今日の演奏曲目は画像の通り。ダブルクリックしてみて。画像が大きくなるから。


http://static.flickr.com/4079/4754888536_3036bba05e_o.jpg


この中の「乱」を録音したが、とてもノイズが目立つ。youtubeにアップしたが画像も良くない。申し訳ないが、少し聞いてみて。

巨匠クロサワによる『リア王』の翻案。「シェイクスピア映画化」という文脈では、洋の東西を問わずオリヴィエウェルズと並んでまず第一に挙げられるレベルの完成度と影響力を誇る作品。

荒漠たる自然の中で泣き喚き人間の脆さを露呈するリア、という構図は同じだが、仲代の鬼気迫る演技が(ピーターがちょくちょく水を差してはいるが)来年で441歳になるシェイクスピアと現代人との間に強固な橋をかけてくれている。

最も特筆すべき点は、そのラストシーンアレンジにある。原作では荒野を彷徨うリアの口から出た台詞をぐっと後に持ってきて、リアの死の直後に道化に語らせている。

「神や仏はいないのか、畜生! いるなら聞け! お前らは気まぐれないたずら小僧だ! 天上の退屈しのぎに人を殺して喜んでやがる。やい! 人間が泣き叫ぶのがそんなに面白いか!」

問題はここから。この台詞への応答として、物語の重要人物である忠臣にこのような台詞を吐かせている。

「言うな! 神や仏を罵るな! 神や仏は泣いているのだ。いつの世にも繰り返すこの人間の悪行、殺しあわねば生きていけぬ人間の愚かさは、神や仏も救う術はないのだ。泣くな! これが人の世だ。人間は幸せよりも悲しみを、安らぎよりも苦しみを追い求めているのだ。見ろ! 今あの一の城では、人間どもがその悲しみと苦しみを奪い合い、殺しあって喜んでおるわ!」

https://www.youtube.com/watch?v=cV2zkvgkCGY

ああ、人間て悲しいし、おもろいよね。

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