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Tales of Planet Tecle 19

2010年06月07日 23:04

Tales of Planet Tecle 19

第一章 アファレスとウヴァルス

第七話 迷いの森 3


リリルの街の人々にとっては神聖な場所・・・石舞台までの道程では、先頭を行くコトルーとハルムの後ろでミリサとシフォルが声をひそめて話していた


「もともと性別のあるアファレスなど存在せんし、ましてや子をなすなど聞いたことがないぞ」

と言うシフォルに、ミリサは

「わたしだってそんな話は聞いたことがありません

でも、じゃあなぜ彼女の名があのリストに載っていたのでしょうか?

少なくともリリルはこのことを知っていたのでしょう?」

と、逆にシフォルに聞き返す始末・・・

二人がいくら考えても答えなど出るはずもなかった


いい加減そんな話を続けていると突然、

「そのことについては、私からちゃんとお話しましょう」

と、ハルムの声が二人の頭の中に響いた

驚いたミリサとシフォルをよそに、ハルムは

「コトルー、あなたにも聞いていただかなければなりません

とても大事なお話なのです

今まで黙っていて申し訳なかったのですが、実は私はアファレスなのです

いえ、産まれる前まではアファレスだったと言えばわかりやすいでしょうか?」

と、切り出した

その言葉に驚く3人をよそに、ハルムは

「私はこの世に生を享ける前・・・母の胎内にいるときには間違いなくアファレスだったのです

しかし、私は永遠とも言えるアファレスの命は欲しくはありませんでした

私は、まだ産まれたばかりの子供だったコトルー、あなたと一生を共にし、子をなし、限りある生命を生きることを強く望んだのです

そうして産まれた私はウヴァルスの女の子と何ら変わりの無い姿で生まれてきたのです

その時にはリリルが一番驚いたそうです

アファレスが生まれてくるものとばかり思っていたら、何の変哲もないウヴァルスの女の子だったと・・・

でも、ミリサ、シフォル、あなた方にならわかると思いますが、あなた方アファレスと同じ方法で私も会話をすることができるのですよ

先程はいきなりで申し訳なかったけれども・・・」

と言うのだった

なんのことやら訳のわからないコトルーをよそに、ハルムは

「リリルはそのことにすぐに気づいて、この子は姿形はウヴァルスだけれどもアファレスであることには間違いないと確信したから、名をつけるときに普通はアファレスにしかつけない女神の名を私につけたのだと教えてくれました」

と続けた

その話を聞いてコトルーは

「それじゃあ、私と添い遂げるためだけにお前はアファレスとして生きることをやめて、一人のウヴァルスとしてイツキスやエノアを産み育ててきたと言うのか?」

と尋ねた

それに対してハルムはにっこり笑いながら

「そうですよ」

とだけ答え、

「急ぎましょう!

エノアが呼んでいます

あの二人は、これまでのこの星の歴史の中でたった二人だけしかいないアファレスから生まれた子供たちなのです

特にエノアには、産まれる前から私の持っているすべてを伝えてあります

とはいえ、まだ幼いあの子のことですから、すべてを受け入れてそれを出し切るまでには至っていません

だからすぐに行ってあげなければ!」

と言った


そんな荒唐無稽な話にあっけにとられている間もなく、4人は急いで石舞台を目指した

そして石舞台に着いた4人を待っていたのは、鬼の形相で立ちはだかるヌハの姿だった


「やっぱりあなただったのね

私たちをここに呼んだのも、私たちを亡き者にしようとしているのも・・・」


悲しそうにつぶやくミリサの声が、丘の風に乗って霧の谷へと渡っていった


つづく・・・

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https://www.youtube.com/watch?v=HsDORDYBcwA

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