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Destricted

2008年10月11日 20:43

カノン」「カルネ」「アレックス」などの問題作で知られるギャスパー・ノエ短編を含むオムニバス映画「Destricted」のDVDを入手しましたので見てみました。
 これでもカンヌ映画祭2006年正式出品なのですよ。
 でも、Rated 18なので、いい子はみちゃいけません。
 
 Destricted(公式HPはhttp://www.destricted.com/DestrictedEnter.html)は7人の芸術家にショートフィルムを作らせ、彼らのsexualityおよびpornographyに関する考え方を提示させたものです。7人とは Marina Abramovic, Marco Brambilla, Matthew Barney, Larry Clark, Gaspar Noe, Richard Prince, Sam Taylor-Wood, です。。
 Marina Abramovicは「Balkan Erotic Epic」なるストーリーで、自らのbreastを、愛撫する女性のシーンを始める。これが素晴らしい景色の中で百姓姿のバルカンの娘なのですよ。次のシーンでは雨中に全裸立位のまま男性器愛撫する男性のシーン。そして嘘のような風習を示すアニメ・・・と、はなはだ馬鹿げたショートフィルムなのです。特に大勢の若い女性から、老婆までが自らの乳房を並んで揉むシーンは、エロチックというよりバカらしくて笑ってしまいます。穀物の豊穣を祈って地面に向かって腰を動かして自慰する男性なんて・・・。しかもこれまた人数が増えるんですから・・・。ほんとう、くだらない!
 Marco Brambillaのフィルムでは、「SYNC」という題で、2分にも満たない間に1秒におそらくは10組のカップルくらいの速さで、目まぐるしく場面・カップルが入れ替わり、そのそれぞれがキスからはじまり、sexualintercourseし、最後にキスをするまでを提示します。実際に、DVDをコマ送りしても、ひとコマごとにカップル・場面が異なっており、それがはげしいリズムドラムの音とともに進むのです。まさしく実験映画という感じです。
 Matthew BarneyのフィルムHOISTでは、多分、黒人弛緩した男性器であろうもののシーンで始まり、ゆっくりとゆっくりと屹立(erect)していく様が移されます。まるで花が咲くシーンを写したスローモーションフィルムみたい。そして建設現場のシーンにいきなり変わり、クレーン車がブルドーザーのような重機をゆくり釣り上げるシーンが続きます。これって暗喩なんでしょうね、男性器の。そして、機械の内部のギアが組み合わさって動くさまが続いたと思うと、また実際の男性器とろくろのような機械群の妙なカップリングした風景が続きます。うーん、機械化された装置としての男性っていうこと?マルセルデュシャン独身機械みたいなものか?これまた完全に実験映画してます。それにしても機械と交わっている男性を見てると「痛そう!」って思ってしまいますね。
 Larry ClarkのIMPALEDでは、若い男性が数人出てきてインタービュー(pornographyを見たのはいつかとか)を受けているのですが、音声がこもっているのとアメリカのレロレロ英語なので聞き取りがむずかしいです。彼らはさらに若い時の体験を話した後に、おもむろに全裸になってインタビューを続けるのです。そこへ女性(いけてるお姉さん)登場!で、一人の若い男性がそのお姉たちにインタビューを始めるのです。で、服をきている若い男性の前で、お姉さんたちが今度は裸になってインタビューを続ける、という変な展開?!それにしてもtattooをしている女性の多いこと!最後には、その中の一人の女性と、若い男性がsexual affairを始めるのですが、このストーリーなんと30分を超えるのです。うーん、これはpornographyなのかなあ(もしくはアメリカ人pornography体験の紹介フィルム)?
 さてGaper Noeのフィルムを見たくてこのDVDを購入したのですが、「このフィルムにはストロボ効果が使われており、てんかんを持つ観客に有害となる可能性があります」などという警告文(彼のこれまでの映画も必ず警告文が出ましたよね)が現れます。しかし、この警告文自体がストロボのように点滅するのだから悪い冗談です。で、男女のsexualintercourseが描かれていたかと思うとそれはモニタの中であって、そのモニタのある部屋では全裸少女がmasturbationをしているのです。一方、同じ画面を見ながら、他の部屋では男性が自慰をしています。少女は熊の人形を相手にし、男はビニール人形を相手にしています。ストロボと、同期するような心臓の拍動のような音響、とにかく長い、しつこい映像!
まあ、案の定、・・・という展開になって、最後にタイトルが WE FUCK ALONEです。これ、Gaspar Noeにしてはまったく駄作ですよ。
 お次はHouse CallというRichard Princeの短編。荒い粒子の女性の映像から開始。日光浴をしているヌード女性が全身にオイルを塗りたくっている風景です。とてつもなbreastが大きな女性ですが、これ自体はあまりいやらしい風景ではありません。日光をあびてくしゃみなんかしてます。で、誰かに電話をかけて・・・。ところが、次のシーンでは男性とお医者さんごっこが始まるのです。なるほど、この監督にとってのpornographyというのはお医者さんごっこをひとつの原型としているのでしょうか。いきなり直腸温をはかってますが、ここからはpornographyステレオタイプ映像です。こうした映像が現代音楽のようなバックミュージックとともに流れるのです。そしていろいろな性技がこれまたお定まりのように続きます。しかも音声なし。バック金属的な音楽だけ(むしろ厳粛な感じ)。で、まるで昔の8mm映画のようなフィルムは終わるのです。エンドロールによるとこの音楽もRichard Princeによるもののようです。
 Death ValleyがSam Taylor-Woodのフィルムのタイトルです。広大な草原を、赤いTシャツジーンズ姿の男が歩いてきたかと思うといきなりシャツを脱いでジーンズをぬぎ、ひざまずいて、男性器を弄び始めます。この背景がすごくきれいでそこでやっているのが、滑稽なmasturbationの風景ですから、うーんこれもポルノ?この男優さんも大変です!なかなか屹立したままというわけにはいきません。そりゃそうですね、原野の中でカメラに撮られながら自慰するのですから・・。 観客(といってもDVDなので僕一人)はこれをずーっと眺めるのです。萎びちゃいました・・がんばれー。だめみたいです。
 うーん、2006年のサンダンス映画祭やら2006年のカンヌ映画祭にも正式出品されているんですけどね。ギャスパー・ノエはその映画の内容からは想像もできないほど親切な人らしく、カンヌで気分が悪くなって途中で退場してきた観客に「大丈夫?」って本当に気をつかって声をかけていたらしいです。まあ、この映画は(性器がぼかされていたら、そもそもこの映画の主題であるpornographyというところがぼけてしまうでしょうから)日本で上映されることはないのではと思います。

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