- 名前
- ユウ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 56歳
- 住所
- 神奈川
- 自己紹介
- 最近面白いことも無く、新しい出会いを求めています。同じような想いの方、メールからはじ...
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遥か・・・(イヴ。そして会いたい)
2006年01月08日 18:10
「いっしょに聞く曲なににしようかな?」悩みながらも楽しかった。「変な曲だとセンス疑われるかな」とか「無難にクリスマスソングにするか」などと思いつつも中々決まらない。「Yも今頃悩んでるかな?」結局、俺が選んだのはスターダストレヴューの「トワイライトアベニュー」という曲だった。全然クリスマスソングじゃないけどなんとなく優しい感じの曲だ。
「曲決めた?」俺のほうから聞いてみた。
「私はね・・・、山下達郎のクリスマス・イヴ」
普通だな。俺はそう思った。その瞬間、
「ありふれてる?」
「いや」
「そう思ったでしょ。」
「いや」
「でもいいの。ありふれてても。それが聞きたいの。」
それ以上あまり深く追求されないうちにYが自分に言い聞かせるように結論付けてくれて助かった。安心した俺は逆に突っ込んでみた。
「でもそれって結構この時期よく聞くよね。街中でもかかってるじゃん。」
「それでもいいの。歌詞見てみなよ。あたし達にはぴったりよ。」
「ふーん、そういうものかな。」
「いいの!」
少し怒ったみたいだ。
「じゃあユウはなににしたの?」
「えと。スターダストレヴューのトワイライトアベニューって、知ってる?」
「スタレビは名前くらいなら知ってるけどどんな曲?」
「どんなって・・・んと、軟弱な曲」
「なにそれ?」
「うーん説明難しい」
「ふーん」
「スタレビなんてレンタルCDあるかな?マイナーだからな。」
「そうなんだ。明日CD屋さん行ってみる。」
「それがいいな。なかったら大変だもんね」
そしてお互いにそれぞれの選んだ曲が入ってるCDを教えあった。
「イヴの日はその2つのCD聞き終わったらデート終りにしようね。」
「え、2時間弱じゃん。」
「うん。短いけど大切にしたいの。だからその日はそれで落ちよう。」
「うむ。まぁええか。」
「ねぇイヴが楽しみだね。」そう言われて、少し照れくさかった。
「そうだね」そう答えるのが精一杯だった。
イヴ当日待ち合わせの11時にいつものチャットルームに入った。
「CDあった?」
「あったよ」ひとまず安心。Yから
「どっち先に聞く?」
「じゃあ達郎はあとにしようか」
「うん」
CDをプレイヤーに入れ
「せいので一緒にかけるんだよ」
「うん、じゃあ、せいの」
スタレビの優しい音色が流れる中イヴのチャットデートが始まった。
「ユウの聞きたかったのはこれ?」
「違うよ7曲目」
「ああ、そうか。私借りてきてまだ聞いてないの。」
「その方がいいよ。全部を新鮮に聞けるじゃん。」
「なんか本当に優しい歌詞だし音色ね」
「でしょ。だから軟弱っていったの。」
「軟弱じゃなくて優しいの」
「そうですか」
判ってはいるが照れくさいのでこの手の曲やバンドは軟弱扱いしていた。それからいつものようにその日会った事や芸能人の話をしていると「トワイライトアベニュー」のイントロが流れてきた。
トワイライトアベニュー
♪ああ、あなたにときめく心のまま人知れず寄り添いたい
夕闇のブルーにまぎれて今さまようトワイライトアベニュー♪
「あ、ホントに軟弱だ」
Yがからかうように口火を切った。
「え?」
「ウソ。ユウってこういうのも聞くんだ。」
「え、まあね。」
「結構女々しいのね」
やばい。ばれたかも。動揺を隠すように、
「あれ、知らなかった?俺はロマンチストなのよ」
「ふふ、知ってた。そうじゃなきゃこんなチャットデート思いつかないでしょ。」
「うう」見透かされている。
「でもこういう曲好きかも。」
「うん」
よかった。気にいってもらえて。でも俺もこれ好きだとはその場では言えなかった。恥ずかしくて。
12時前にはスタレビのCDは終わってしまった。「じゃあ、次は達郎ね」
「うん、せいの」
「あと1時間くらいだね。」
「延長してもいいんでないの?」
「いいの。1時間だから貴重で大切な時間なの。」
「そうですか」
大分Yの方が仕切るようになっていた。
「クリスマスイヴの歌詞ってさあ、一人ぼっちだよな、主人公が。」
「そうそう」
「俺たちは一人ぼっちじゃないじゃん。」
「でも二人一緒のようで一人ぼっちだよ。だから一緒にこれ聞きたかったの。」
「来年はさあ・・・」
「ん?」
「私達、イヴの日いっしょにいれるかな?」
「え」
「いつか私達会えるのかな?」思わず言葉に詰まった。恐らくこの時が初めてYが「会いたい」気持ちを示したと思う。
「今年は無理だったけど、来年はきっと会えるよ」とっさにそう答えていた。そして俺の中にも「会おう」という気持ちが固まった。
「本当?」
「うん。二人が会いたいと強く思い、必ず会えると信じていればいつかきっと会えるよ。」
「うん。絶対だよ。」
「うん」
しばしの沈黙の中「クリスマスイヴ」のイントロが流れてきた。
クリスマスイヴ
♪雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう Silentnight Hollynight
きっと君は来ないひとりきりのクリスマスイヴ Silentnight Hollynight♪
「もうすぐお正月だね」
「来年はいいことあるかな?」
「あるよ、必ず。だって俺たち初めて会うんだろ来年は。」
「そうだね、緊張するな。怖いかも。」
「緊張するなよ。それに怖がるなよ。」
「うん。」
そういい終わった後に自分が怖がっていた事を思い出した。
「今日はよかった。チャットででもユウに会えて。」
「うん。俺も」
「ありがとね」
「ううん、こっちこそ。いつもだったら、独身仲間と酔っ払ってる頃だった。Yのおかげだよ。」
「じゃあ、約束だからもう寝ようか。」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい。」
PCの電源を落とすといつも通りの静かな夜に戻っていた。「会えるかな。」まだ少し自信はなかった。ただ、今まで以上に会いたい気持ちが強くなっていた。そのイヴはスタレビと達郎の曲が頭の中に流れる中、Yとの会話を胸に深い眠りについた。
本当に雪が降りそうな寒い夜の中、暖かな記憶と共に。
このデジログへのコメント
逢えない二人が、クリスマスにネット上で一緒に過ごすって素敵ですね^^これからがすごく気になります^^
早速のコメントありがとう。いいこともあれば、悪い事もあるのが人生。その意味で今後も見守って下さい。
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