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趣味は読書、忘却もまた良し

2020年08月11日 23:51

大藪春彦の「野獣死すべし」はかつて、角川文庫新潮文庫で手に入ったが、今は光文社文庫のみ。
しかも、ある程度の大型書店でなければ、手に入らない。
光文社文庫の裏の折り返しには、「血の来訪者」(「野獣死すべし」第三部)もラインナップされているが、現実には品切れ状態。
僕は二十代の初めに、新潮文庫でこの作品を一度読んだが、本自体は手離してしまった。
古書店などを探したが見つからないので、少し抵抗はあったが、電子書籍を購入した。
そして、昨日から読んでいる。
これが、まるで覚えていないのだ。
記憶に引っかかってくるところさえない。
全く新しい小説を読んでいるようである。
ネタバレだが、冒頭富豪の令嬢と関係を持つ伊達邦彦が、令嬢の妊娠を聞いて、その対処を考えながら、人里離れた沼のほとりへ令嬢を連れて行くのだが、そこでアクシデントが起きて、令嬢が絡んで来た不良少年二人に殺されてしまう。
これは、アクシデントなのだが、このアクシデントが起きなかったとしたら、伊達はどうするつもりだったのだろうか。
僕は、沼に連れて行く時点で、殺してしまうのではと、想像してしまった。
完全に覚えていない証拠である。
しかし、それはそれで面白い
もともと、面白いと知っていて、再読しているのだから。

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