大阪万博1970　その３

厚生省の捜査官という人たちは

父の部屋から　かなり大量の物品を　

彼らが　持って来た段ボール箱に　入れて　持ち去りました。

なんだか　あっという間だった　ように思いました。

なんだったのか？
母に　聞いても　要領を得ず・・・・・・・

今思えば

近所の人に　知られることが　なかったのが幸いだったと思います。

そういうことを考慮して　捜査の人たちは　早朝に　来られたのかも知れません？


その日の午後、　

父から自宅に電話があり　母が受けました。

「しばらく　帰れないから　子供達は　もう　万博には　こさせ　ないように。」

・・・・　それだけ　だったらしい・・・

いったい何が　あったのか？

父は　それから　万博が　終る9月中旬まで　帰ってきませんでした。



その時に　ワタシが　知っていた　父に関する情報は、

「美術商で、大阪で顔が広く、且つ　フランス語が出来るので

ケベック州館から　内装デザインの　仕事を頼まれた。」

というくらいのものでした。


周囲の大人たち（伯父・伯母）は　何か　知っている様子でしたが、

「だいじょうぶ　何も　心配　要らないよ。」

としか　教えて　くれませんでした。


万博に　行けない事よりも　

なにが　あったのか？

気になって　母に　何度も　何度も

聞きました・・・・


今になれば　母が

いちばん　辛かった　と。

・・・・・・・


九月の終わりごろ、

父が　ニコニコしながら　帰ってきました。







ことの　真相が　ほんとうにわかったのは

父が　亡くなってからでした。