- 名前
- 詩織
- 性別
- ♀
- 年齢
- 52歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 特になし
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何が起こったのか、理解できなかった。
2007年03月26日 22:15
ただ蹴飛ばされ、髪をつかまれ、引きずり回され、ブロック塀に打ち付けられて、額から血液が流れ出した。
目の前が、真っ赤に染まる。
蹲る体に、夫は容赦がない。
「おまえが何をしているのかなんて、全部わかってんだよ。
ふざけんなよ」
腹を蹴飛ばされた。
太股が蹴飛ばされた。
黒い靴の先が、頬に当たり、熱を帯びて膨れ上がっていくのがわかる。
女が、歩いてきた。
見知らぬ女が、下卑た笑いを浮かべて、彼の家の入っていく。
ああ、そうか。
そこにいけば、助かるんだ。
這い蹲りながら、彼の元に行こうとした。
背中を蹴飛ばされ、アスファルトに顔があたった。
赤い色は増えていく。
アスファルトは真っ赤に染まり、視界の赤みもましていく。
「二度と帰ってくるんじゃねえよ」
唾を吐きかけられた。
何度も、何度も。
やっとのことで玄関に辿り着くと、赤いパンプスが揃えられてあった。
四つんばいになりながら、やっとのことで階段をあがり、彼のいる部屋のドアを開けた。
見しらぬ女がいる。
むき出しになった下半身は白く、彼の上で器用に動いていた。
彼は、うすっぺらい笑いを零した。
「随分やられたね」
助けてくれるんでしょう?
その人は誰なの?
声にならない声が吐き出されてくる。
「君の役目はおしまいだよ。
ごくろうさん。
旦那にばれちゃ、遊びにならないからね。
ぼくはごらんのとおり、女には不自由してないから」
彼の上で激しく動いていた女が、顔を向ける。
「ですってよ」
女が笑った。
彼が笑った。
必死の思いで上がってきた階段を降りていく。
壁に体を預けて、やっとのことで降りていく。
外に出て行くと、青いはずの空が、真っ赤に染まっていた。
夕日か。
血液の色か。
もはや思考回路を失った頭では、判別不能だった。
わかっていることは二つ。
彼はわたしを、愛していなかった。
信じてもいなかった。
夫は、いなくなってしまった。
愛していると思ってた。
信じていると思ってた。
それは、わたしの独りよがり。
笑いが腹の奥から突き上げてくる。
笑い気力もなく、はっはっと息だけが短く吐き出されてくる。
愛されてなんか、いなかった。
あれは、幻。
夢、だった。
このウラログへのコメント
しゅーるっ!
かなりの使い手と見た!ホント上手い。
冗談抜きで一度お話してみたいす。
重いね~。深いね~。
これは現実?夢?過去の話?…妄想?可哀想過ぎて言葉に詰りますょ。夢であって欲しいです!
現在未婚になってるから…昔の話なのかな?…それとも創作の世界なのかな?…今生きているのは確かだね…♪
ギリギリを生きてる?シュールレアリスム・・・かと思えばタイト・・・。一生懸命好きになってるね!
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