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天使のマーチ2+感想

2012年10月09日 03:01

表から続き

キレイな顔してたよなぁ。」
時々かよ子はたっちゃんが死んだ時のことを思い出す。
あの日たっちゃんと玄関で別れた後、すぐに病院に行かねばならなくなった。
たっちゃんが死んだという。そんな筈ない。きみ子を起こし、近くのたっちゃんが待っている病院に向かう。さっきまで、話していたたっちゃんがいきなり死ぬはずない。そんなの何かしらの連絡ミスだ。たっちゃん陸上部の元エースで体も丈夫だし。人がこんなにあっけなく死ぬわけない。
かよ子は混乱していた。

だが、霊安室たっちゃんの顔を見て触れて、理解した。

たっちゃんは死んでしまったのだ。顔も体はキレイだった。
「こんなにきれいなのに死んじゃうんだね。」
頬に触れた。つめたい。
瞬間かよ子は泣き崩れ、看護士達に連れられていった。きみ子もその時一緒だった筈だが…思い出せない。

「ほんとにキレイなまま死んじゃったよね。」
あれから色々変わった。住んでいたマンションは県営住宅に変わり、家財道具は売り払い、かよ子は働き始めた。変わっていないのはこのテーブルだけだ。結婚したときに2人で選んだ真っ白なテーブル。あとは写真の中のたっちゃん
「本当にたっちゃんだけキレイなままでズルいぞ」写真の中のたっちゃんに笑いながら文句を言ってみる。

カタン
きみ子が帰ってきた。かよ子が玄関の方を振り向くと、艶々した毛皮の黒い小柄な猫が立っていた。

「…ただいま。」何か様子がいつもと違うなぁ?。どうしたの私の黒猫ちゃん?。
「今日帰るの早いわね?」かよ子はニタニタ笑う。
「今日は部活お休みみたい。」きみ子は一瞬ニコッとする。
「みたい…」ねえ。かよ子は苦笑いせざるを得ない。きみ子はとても自由だ。
きみ子が突然脱ぎ始めた。黒猫の毛皮はするりと脱げ落ち、色白で細い天使がそこにいた。きみ子はどこかの西洋画の天使みたいに青白いんだけれど、なんとなく暖かな穏やかな雰囲気を持っていた。きっと将来美人になるわね。
「きみ子。女の子なんだから恥じらいを持ちなさいよー。あと常識ー。」
「だって楽なんだもの。それにかよ子しかいないじゃん。」そう言いながら一瞬で鼠色の寝間着に着替えた。確かにきみ子の言ってることは正しい。

「何か飲む?。」
コーヒー」勿論ブラックだろう。きみ子は最近背伸びをするのだ。これからも背伸びをし、どんどん美しく成長するのだろう。私は…少なくとも年をとりますます老いていくのだろう。イヤだなぁ。私ひとり。

「…よ子。かよ子。」
誰かが読んでる。
「おかあさん。」
ハッとして前を見ると、たっちゃんの瞳があった。ダークブラウンで長い睫毛の二重瞼。これは私が大好きだったたっちゃんの瞳だ。
「おかあさん。最近ボーッとし過ぎよ。またたっちゃんのこと思い出してるんでしょ」きみ子はかよ子のプロフェッショナルになりつつあった。
「バカねぇ。忙しいんだからそんな暇ないわよ。」かよ子は誤魔化して笑うが、きみ子が「誤魔化している」のも見抜いていることを知っている。だって、たっちゃんの瞳だもの。たっちゃんの瞳に見られていると、かよ子はいつも安心できた。

2人はお互いのことをよくわかっていた。お互いのプロフェッショナルだった。慎ましい生活だが二人ともよく笑い、幸せだった。



達也我が家に向かっていた。携帯を忘れたのだ。今日は珍しくうっかりしてしまった。
家から7分軽く走れば交差点まで余裕だ。階段を上り、2階の我が家の黒い扉に手をかける。

扉は勝手に開いた。
天使が立っていた。携帯を片手に。
「よく気がついたね。きみちゃん。」達也はきみちゃんを持ち上げ、頭を撫で回す。きみちゃんはきゃっきゃっと喜ぶ。
たっちゃん、いっちゃうの?。」きみちゃんは寂しそうに言った。抱きしめてくる力も強い。離れたくないみたいだ。
「そうだよ。きみちゃん。世の中にはルールがあって、誰も逃れることはできないんだ。」きみちゃんは僕の瞳を覗いてくる。きみちゃんの瞳はとても美しいことに気が付いた。
僕は続けた。
「だからね。僕もルールの中で一生懸命がんばるんだ。きみ子とかよ子の為に。」きみちゃんの瞳に理解の色が浮かんだ。
「きみちゃん、大好きだよ。」きみ子ちゃんにキスを貰い、玄関にそっと下ろした。



きみ子はベッドで眠っていた。きみ子は夢を見ていた。たっちゃんとの約束の夢だ。
たっちゃんに携帯を渡して暫く玄関に立っていると、玄関が小さく開いた。

たっちゃんが帰ってきた。なぜかきみ子は嬉しくてしょうがなかった。
「きみちゃん。かよ子には携帯のこと内緒だよ?。」
かよ子はそのとき寝て休んでいた。
「うん。」きみ子はたっちゃんに合わせて小声になった。
運動会絶対見に行くから、マーチ頑張るんだぞ?。」
「うん。」きみ子は何だか嬉しくなった。たっちゃん運動会に来てくれる。
「二人の内緒だよ。」

そして、たっちゃんはいってしまった。きみ子にとって最後のたっちゃんだった。別れ際にキスを返してくれた。

きみ子はいまだに秘密を守っている。


運動会の日、かよ子はひとりできみ子を見ていた。たっちゃんが死んでからずっと夜は泣き、笑うことはなくなっていた。
マーチが始まった。きみ子は先頭でバトンを回している。
「1!2!1!2!」バトンくるくる回る。かよ子は驚いた。こんなにうまくできるんだ。きみ子は一人だけ輝いて見えた。誰よりも音楽と一体になり、自由にマーチを楽しんでいた。
かよ子の中の何かが萎む音がした。

マーチが終わり、きみ子が走ってきた。
「きみ、マーチできるんだよー。」きみ子はどんなもんだいという顔をして無邪気に笑っていた。

かよ子は笑い始めた。
「そうね。かよ子は本当にうまかったわ。」

私にはきみ子がいる。ねぇ、そうよね。



達也は走っていた。あと8分か…。まだまだ余裕だな。本当は、達也はまだ走るのが好きだった。
会社に遅れるわけには行かない。今日から仕事を全力でこなして運動会マーチを見る。達也は家族を愛していた。家族のためにも、バスに間に合い、会社にいつも通り行かなければならない。
5分。先に見える交差点は丁度青だ。運が良い。ベストタイムだ。達也交差点に差し掛かった。

灰色のビルの影から陽の光を感じた。温かくて穏やかな光だった。

終わり

感想
痩せ細った猫みたいな文章表現。リアリティーをどうやって出すかを試行錯誤しなくてはならない。あと極めつけは全体のまとまりだ。一本筋があれば話になるというわけではない筈。こんなもの、誰でも書ける。

要するに駄文だ。
これは文章にすらなっていない。程度が低すぎる。中学生だってもっとマシに書けるやつはいるだろう。

やっぱダメですね。バカには銃もペンも使いこなせない。

おやすみなさい。

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