三大欲求

人間の三大欲求というやつはご存知かと思います。
食欲と睡眠欲、そして性欲ですね。
前のふたつは生命維持のために、性欲は種の存続のために必要となるわけですから人間として当然の欲求ということになります。

ふと、この三大欲求の内でどの欲求が一番強いのだろうか・・・と思ってしまいました。
どれも欠くことのできないものであるために、優劣をつけること自体がおかしいことですね。
極端な話ですが、食欲だけが突出していたら眠ることが疎かになりますし、セックスなんて面倒でしないでしょう。いずれ種が滅びるかもしれません。
性欲を頂点に置き換えれば、より悲惨になります。食事もとらずにセックス。寝る間を惜しんでセックス。死にます。
しかし、優劣こそなくても三すくみ的な関係はあると思うんですよ。

エンドウさんはここのところ連日でバイトをしておりました。
最近になってごっそりとアルバイトが辞めたので、その穴を補うために俺のシフトがごっそりと入れられたんですね。
まあ、先月は給料少なかったからいいかしらと思ったのが大間違い。
1日10時間程度という労働の基準を軽く無視した勤務を4日続けたので、いい加減体がだるくなってきました。
立ち仕事なので足に負担がかかります。帰宅途中、駅の階段を上るのが億劫でだらだらと足を運んでいたら見事にもつれて転びそうになりました。
隣にいたお姉さん、バカ受けしていないで心配してください。無理だけど。

バイト中は腹が減って仕方がなく、家に帰ったらもりもり食ってやると意気込んでいたのですが、食卓につく頃には疲労による眠気が勝ってきて、とてももりもり食べるような気分ではありません。
それでもお腹は空いているので、半ば無理矢理ご飯を詰め込みましたよ。

飯も食ったしさっさと風呂に入って寝るか・・・と思ったのですが、やり残していることがありました。
明日返却しなければいけないAVをまだ見ていません。
わざわざ金を払ってレンタルしてきたものですから、未見で返却するというのはどうも癪です。
ですから、風呂に入る前にさくっと見てやろうと思いました。

AVを借りてくるなんて理由は一般的にひとつであり、エンドウさんもその例に漏れずレンタルしてきたのでやることは決まっています。
手を洗ってイヤホンをつけて、パンツ下ろしてスタンバイよしです。
冒頭の下らないインタビューは早送りして、絡み始めるところから鑑賞を始めました。

無骨で大きな手が女優の膨らみをゆっくりと揉みしだいています。動きの幅が次第に小さくなっていき、頂点の突起を集中的に攻め始めました。艶やかな吐息が洩れます。
愛撫を続けながら男優は顔を近づけていき、やがて二人の唇が触れ合います。はじめは啄ばむように、やがて貪りあうように互いの唇や舌を求めます。
醸し出されるのは官能的な情欲。

・・・それはいいのですが、困った事態が発生しています。
ちっとも勃起しないんですよ。
いつもなら血流が集まるところなのですが、正直オナニーしているよりも寝たいところなので反応が鈍いのです。
挿入の段階まで進んでなんとか立ってくれたので、処理することができました。
しかし、達してもいつもとは質の異なる脱力感が残っただけでした。

性欲は日常的です。TPOをわきまえず発生するものですね。
それに対して食欲と睡眠欲は要所要所でしか現れません。
その意味でいうと性欲が最も強い欲求であると言えなくもありませんが、前述したエンドウさんのモデルから言いますと睡眠欲に勝るものではありませんね。
これは食欲も超えるものでしたが、お腹が減りすぎて眠れないという状態もあることですから一概に睡眠欲が最強であるとは言えません。
まあ、結局はその時々のコンディションに左右されるものなのでしょう。

余談ですが、辛うじて勃起してくれたチンコを擦り上げながら思ったことがひとつ。
全然気持ちよくないなあ。
エンドウさんは早漏なので快感指数が急上昇して果てるのが常なのですが、眠気の影響なのか感度が悪いんですよ。
これは使えるかもしれません。愛情が冷めても感度は落ちますが、眠い状態でも感度が落ちる。ということは早漏でも眠いときにセックスすれば長持ちするということです。

しかし、致命的な欠点が。
眠いときはとんでもなく立ちが悪いので、全然実用的ではない手段なのでした。