近親相姦

個室というのは家族で空間を共有する家の中においてプライバシーを保障する場所であると思います。
同姓の兄弟はひとつの部屋をふたりで使わされることもあるようですが、人間の尊厳というような観点から見ればひとりひとりに部屋を与えるべきなのです。

エンドウさんと妹の部屋は向かい合わせになっています。
だからどうと言うことはなく、扉を閉めさえすれば個人の空間が生まれますね。
しかし・・・なぜか年間を通して扉が閉められることはありません。それは俺に限ったことではなく妹のほうも開けっ放しなので、お互いの部屋の様子が丸見えなんですよ。
今も妹がM字開脚風味に足を開いたしょうもない格好で雑誌か何かを読んでいる姿が見えます。

何だって俺のほうへ足を開いているんでしょうか。まさかとは思いますが誘惑ですか？
かつては小さくてかわいかった妹も、今では艶かしく女性へと成長しています。
ほっとパンツから伸びる肉感的な足はホント官能的です。
彼氏はいないはずですが、実は内緒でいたりしてその野郎が妹の体を撫で回していたり、あの開かれた足の付け根に当たる部分に変な棒入れたり出したりしていたら、万死に値します。
いくら妹がその野郎のことを好きでもお兄ちゃんは非常に悲しいですよ。

それは半ば冗談として、妹のセクシャルな姿を視界に映しているのですが、性的にそそられることは何もありません。
妹に魅力がないわけではなく、エンドウさんがEDというわけでもなく、家族というのはまったく性欲の対象に入らないのですね。

これと同類で自分が家族的な対照と捉えている人に対しても性欲は喚起されません。
後輩にすごい好きな子がいるんですよ。でも、彼女にしたいとか、とりあえずセックスしたいなんて全然思わないんですね。
それなのになんで好きなんだろうと考えたときに、妹によく似ているからだと気がつきました。

一般的に家族とは性欲の対象ではありません。
しかし、どうも中には血のつながった兄弟としちゃったという人もいるようで、いわゆる近親相姦が存在します。
エンドウさんとしては全然理解できません。
妹を、そして母親を抱くなんて感情的にも理性的にも不可解です。

レンタルビデオショップのAVコーナーにおいては近親相姦のジャンルが一角を占めています。
これは、それだけ近親相姦というシチュエーションに関心がもたれており、需要があるということですね。
しかし、AVというのはファンタジーであるために現実ではありません。実際に演じている俳優の方同士に血縁関係はありませんし、視聴者は演技を見ているだけです。
近親相姦というありえない浮世事にエンターテイメント性を見出しているのです。

なぜ憧れるのでしょうか。
手近な想像としては、家族愛を異性愛と錯誤してしまったとか、家族愛が強すぎてそれが高じたためといったところでしょうか。
少なくともエンドウさんの家族は俺を無条件で受け入れてくれるので、他人からそんな愛情を受けることができたらすごく嬉しいんだろうなとは思います
もしかしたら、近親相姦に憧れる心理というのは、甘えが変形したものなのかもしれません。

日本のモラルは近親相姦を禁止しています。
これは、近親間で性交した場合、奇形児が生まれてしまうためであると聞きます。
これに対して科学的な根拠がないという意見を述べる人もいますが、言葉を返すものです。
実際に科学的なことがどうこうではなく、もはや自分の中に近親相姦を嫌う、というよりも家族を性欲の対象外とする文化ができてしまっているのですね。
近親間であると奇形児が生まれるのか確かめる気はありませんし、確かめてほしくもありません。

近親相姦を良しとしない理由は歴史をたどれば見えてくるのでしょうが、調べだすと論文を一本書くことができてしまいそうなのでやめておきます。
どのみち、エンドウさんのモラルが崩れることはないでしょうから、史実がどうあろうが関係のないことですからね。

相変わらず妹は足を開いたままです。
本当にしょうもないなあ・・・と思っていたら、あいつ寝ているじゃないですか。安心を通り越して無防備なような気がしますよ。もう。
まあいいや。疲れていたようだからよく寝てください。
俺は絶対襲わないから。