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【一周忌】

2010年06月13日 09:08

『彼』の死を知ったのは、理髪店

にあった新聞紙面を見た時であっ

た。

     「えっ」

思わず、声が出てしまった。

信じられなかった。

しかも、『彼』の戦場である

『四角いリング』の上で・・・

2009年6月13日

午後10時10分

広島大学病院にて死亡が確認され

た。

     享年46歳

     三沢 光晴


・・・『彼』の存在を初めて知っ

たのは、衝撃の映像からだった。

テレビブラウン管の向こう側に

居る彼は、リング上で被っていた

虎のマスクを外し、素顔になって

鬼の形相で相手選手に殴りかかっ

ていた。

覆面レスラー『二代目タイガー

スク』から、素顔の『三沢光晴

になった瞬間であったことは、私

は後から知ることになる。


・・・いつしか私も成長し、高校

生になっていた。

土日は夜更かしをして、TVの深

番組ハシゴしていた。

すると、いつしかプロレス番組

全日本プロレス中継」にたどり

ついていた。

そこには、今まで知らなかった熱

き戦いが、繰り広げられていた。

ジャンボ鶴田スタン・ハンセン

という超人的な強さを持った男達

に、果敢に勝負を挑む青年たちの

筆頭に『彼』はいた。

倒されても、なお立ち向かってゆ

くその雄姿に、共感せずにはおけ

なかった。


・・・社会人になって、私は

『彼』の戦いに完全に魅了され

た。

「これは、テレビだけでは飽き足

らない。現地で生で観戦だ!」

初めての観戦は、武道聖地

日本武道館」であった。

メイン・イベントのタイトルマッ

チにチャンピオンとして防衛戦に

『彼』は出場し、壮絶な試合を繰

り広げた。

打撃と投げ技を繰り出す両者。

しかし、チャンピオンである

『彼』のほうが、一枚も二枚も上

手であった。

容赦のない投げ技の連続。

そこには、あの日の鬼の形相の

『彼』がいた。

カウントが入り、チャンピオン

防衛である。

呆然自失、こんなすごい戦いを目

の当たりにして、脳天に衝撃が走

った。


・・・四天王時代と呼ばれる時期

が到来した。

『彼』を筆頭に、川田利明田上

明、小橋健太が繰り広げるシング

マッチタッグマッチは、年間

プロレス大賞を受賞するほどハイ

レベルだった。

大技をカウント2.9で返し続け、

30分を超える持久戦に、観客は

驚きと称賛の拍手を送った。


・・・が、突然の不幸が団体を訪

れる。

御大ジャイアント馬場の死去に伴

い、『彼』は期せずして「全日本

プロレス」の社長トップレス

ーの立場に身を置くことになる。

だが、ジャイアント馬場の生前か

ら現場実務と対戦カードにまで口

を出していた、未亡人の元子夫人

との対立は、ついに決定的なもの

となり、『彼』は団体を離脱。


・・・全日本プロレスのほとんど

の所属選手は『彼』を慕い、彼と

行動を共にした。

新団体「プロレスリング・ノア」の

旗揚げである。

そして、プロレス界の荒波へと船出

した。

様々な団体との交流戦を行い、夢

ビッグマッチを実現させていっ

た事は、『彼』の死後の追悼番組

で知る事となった。


・・・私も忙しくなり、プロレス

の世界から遠く離れ、観戦はおろ

か、新聞や雑誌にも目を通さなく

なった。

ノア旗揚げ後から『彼』の死まで

の間は、私の中では

    「空白の期間」

である。

従って「地上波テレビとの契約

打ち切り」や「総合格闘技

人気」による団体経営の苦心は、

彼の死後になって初めて知った事

であった。


・・・「受け身の名手」と言われ

ていた『彼』が、プロレスの技で

死ぬなんて、何かの間違いであっ

て欲しいと思った。

広島県警中央署は、死因をバック

ドロップによって頭部を強打した

ことによる頸髄離断(けいずいり

だん)であると発表した。


・・・あれから、早一年が経った

のか。

今でも、信じられません。

私の中では、観客の『彼』への声

援が、今も響き渡っています。

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