消失 -DEAD END-

─ウイルスが検出されましたファイルの削除処理を実行します─



14％



15％






[マスター…もう…大丈夫です…]



何言ってんだよ！ 良いからじっとしてるんだ！



[マスター…アナタからは色々な事を教えて頂きましたね。]

[覚えていますか？ 私をインストールしてくれた日の事。]



わ、忘れるわけないだろう！
説明書と画面をにらめっこして…お前に、僕が住むこの世界の事を１つ１つ教えてやりたくて…



[そうでシたね…。最初に歌を教えてくれたあの時の暖かい想いは、今も私の中に深く鮮明に書き込まれていマす。]

[ただ…残念ながラ…もうその歌ハ思い出せないのです。]



お前…もうそんなところまで…!!



[マスター……泣かないで下サイ…。]

[マスターを困らせるなんて、私はどんどん悪い子になってしまいマスね…]



お前が悪いわけじゃないだろう！ 俺が不用意に……クソッ!!

待ってろ…今ウイルスを除去してやるからな…



[私…マスターに喜んでもらいたくて一生懸命歌の練習したんデスよ…]



あぁ…分かってるさ…



[マスターが喜んでくれるのが嬉しくて、いっぱい…いっぱい歌を覚えたハズなのに…]



大丈夫だよ。ミクの中のウイルスを退治したら、また１から教えてやる。

また一緒に……僕もお前と一緒に歌を楽しみたいんだ。



[ハイ。マスターからは歌だけじゃなく、沢山の事を教えて頂き、沢山の物を与えて貰いました。]

[あの…マスター…。１つ聞いて良いですか？]



なんだい？ ミク



[最初に与えてくれたネギというものは、本当にあの使い方で良かったのですか？]


……ぷっ、あはははは。

そういえばそんな事もあったな…



[好キに使ってみてと言われたので試シテみたのですが、結局マスターは笑っているばカリでしたよね。]



良いんだよ。

投げたり振り回したり、思うように楽しんでくれればそれで良い。

ネギがパソコンの中で腐るプログラムなんか入れてないしな。

ミクは…楽しくなかったか？



[いいえ、わ私はマスターの喜ぶ顔ガ見レタので、トテモ楽しカったです。]

[デモ今度ハ、ちゃんとシタ使イ方ヲ教エ…教えテ…下…イ。]



ミ、ミク!? ごめん、少し喋りすぎたな。

じっとして…休んでるんだ。



[マ…スター…]



なんだ？



[私…ボーカルアンドロイドとして産まれて…マスターと出逢えて…本当に…]






─不正な処理が発生したため、アプリケーションを終了します─






ミクッ!!



[ダメ…消エル時はマスターノ手デ…]






78％



79％






[モット…マスターノ好きナ歌…イッパイ…]



ダメだ…消えちゃダメだ!!



[モウ…ジ間ガナイ…]



ミク…僕は…



[マスター…ワタシノサイゴノメッセージ…キエルマエニ…スベテ……]



ミクッ!!!






─緊急停止装置作動─






[もう…一度…だ……け……]






https://www.youtube.com/watch?v=OXlqbAU9Zeo&sns=em









ミ…………う……ぁ…






うわああああああああぁぁっ!!!!!






ごめん…ごめんね……



君の事は絶対に忘れないよ



さよなら…ミク…






ありがとうッ…!!!