祈り

病室のベッドで

意識と無意識の間をさ迷いながら

貴女は何を思っているのだろう








恐らく貴女は夢を見ている









自分の生きて来た時間を

振り返りながら




好きな男と一緒に暮らせて


幸せだった時間




でもその男が次第に変わり

貴女の気持ちを無視して

嫌がることばかりを押し付け始めた





それでも貴女は嫌とは言えず




従うだけだった





そんな生活が続き

身も心もボロボロになった貴女





何かのきっかけで出会い系に登録

そこで知り合った男に

心を許した





その男は

それなりに優しく

それなりの敬意を持って

貴女に接したけれど




貴女が最後に思うのは

やはりご主人のことだろう




どうして貴方は変わってしまったの

どうして貴方は私を傷付けたの




そう問いながら

貴女の意識は

遠のいて行くのだろうか





出会い系の男は願う

貴女の人生だ

こんな終わり方をして欲しくない

生きて

戻って来て

ご主人との関係を修復して


貴女らしく

幸せな

一生を送って欲しい



私はそれを

遠くから

近くから

見守るから




私の願いは

届くのだろうか

病室のベッドで

貴女が見ているのは

私の夢なのか･･･





生きて

もう一度

いや、

これから何度も

また会って

旅行に行って

愛し合って

お互いの成長を見守って



そんな風になりたかった




いや、なりたい




だから、





帰って来て欲しい･･･







価値あるもの


それは


愛しい人の笑顔



愛しい人の安らかな寝息



愛しい人が安泰であると


確信できる安らぎ





貴女にとって価値あるもの


それは


何だったのか


貴女は私に


教えてくれなかった






推測することが許されるならば



それは


ご主人との

安らかな暮らし



出会い系の男の優しさなど

もう要らない


という落ち着き



そんな願い



元気になった貴女に

確かめたい






だから


ここで諦めたりするな


また元気な笑顔を


見せてくれ




私のためでなく


貴女自身のために












この想い



この願い



この祈り





どうか




彼女に






天に







届きますように･･･










道ならぬ恋



それでも



貴女に幸せになって欲しい･･･










どうか、どうか･･･




生きて欲しい･･･