シッコ

←マイケル・ムーア

左側の　でかい図体のオッサン　いまや史上最大のドキュメンタリー映画作家である


２００２年「ボーリング・フォー・コロンバイン」では　アメリカの銃社会を批評し　アカデミー長編ドキュメンタリー部門受賞

コロンバイン高校での生徒による銃撃事件で半身不随になった被害者を連れて　銃撃犯の生徒に銃弾を売った大手スーパーの本社に殴りこみ

そして　銃弾の販売を中止させた


２００４年「華氏９１１」では９．１１をテーマにブッシュ政権を攻撃

イラク戦争のウソを暴き　ブッシュ再選阻止を訴えるため２００４年の大統領選挙の直前に公開したが　ブッシュは辛くも再選され　戦争も続いている。。。


そして今回のテーマは「シッコ（sicko）」＝病人・狂人・変人


先進国で唯一　国民健康保険制度のないアメリカ

６人に１人が無保険で　毎年１．８万人が治療を受けられずに死んでいく

アメリカの医療保険は　民間の保険会社だけが頼り

しかし　実態は　治療を不必要と診断した医師に

“無駄な支出を減らした”

という旨の奨励金を保険会社は与え　加入者には何かと理由をつけて保険金を払わない

さらに多額の献金で政治家を操り　都合のいい法律を作らせる

そんな政治家達は　ヒラリー女史の公的医療保険を求める動きに対して

「国による健保の管理は社会主義への第一歩だ！」

と完全に潰すまで恫喝する

アメリカ国民は　高い保険料を払っても　大病を患えば　治療費が支払われずに　病死か破産するのみ！！！


『人間の命を守る行為に利益が介在するのはおかしい』

マイケル・ムーアは　アメリカの保険制度の実態を暴きつつ　国民が無料で医療を受けられる　カナダ　フランス　イギリス　そして国交のない“仮想敵国家”キューバの状況を取材

そして　

『９．１１の英雄に　アルカイダのテロリスト達と同じ治療を受けさせてくれ！』

ムーアは叫んだ！

キューバ南に位置する「グアンタナモ海軍米基地」で！

ここは９．１１同時多発テロに直接関わったと思われるテロリストや爆発物のエキスパート　ハイジャック犯などが拘留されている

皮肉なことに　ここには最高の医療設備が整っており　アメリカで唯一無償で２４時間体制で最高の健康管理がされている

それを知ったムーアは　９．１１で救命作業のボランティアで　自らの健康を犠牲にすることになり　まともな治療を受けられない救命員達を　グアンタナモに連れていくことに。。。


この先はえーが館で観てね♪



「シッコ」（２００７年アメリカ映画）
監督・脚本・製作：マイケル・ムーア


このえーがは　保険に入っていない人達の“悲惨さ”を訴えているワケじゃあない

むしろ　「今の保険は大丈夫か？？」と問いかけているんです

その上「あなた方が頼っている民間健康保険は　いざという時にまるで役に立ちません」と警告してます

そう　このえーがは「自分は保険に加入しているから　病気や事故にあっても大丈夫だ」と思っている人のためのえーがなんです　　

このえーがの実態はアメリカのこと

日本じゃない

しかし　他人事とは到底思えなくなります

アメリカと対比させる形で　医療費自己負担ゼロという国がいくつか出てきているけれど（その“ゼロ”に対しての欠点は深く言及されていないけれどね。。。）これを観る限り日本はアメリカ寄りの保険医療なんだなと思い知らされました

アメリカと比べると　日本の国民健康保険って素晴らしいなとも　勿論思ったけれど　それも加入していればのハナシ

今　自己負担率３割だけれど　さまざまな形で自己負担を増やす方向に向かっているし　将来　アメリカのような民間保険方式にも成りかねない！！

健康というリスクを　

社会全体で助け合っていくか　個人負担にするか

ということにすぎないから　アメリカは民間保険方式になってしまったんじゃあないかなぁ。。。


なんでもアメリカに賛同している日本

現在の「医療制度改革」すなわちムーアが指摘しているアメリカ医療制度への道に突き進むのと同じと思ったほうが良いかもしれませんね。。。

つまり　将来の日本


『体制側にとって教育と健康に自信を持つ国民は扱いにくい』

という台詞がありました

そう言われると　アタクシ　もっと賢くならなきゃいけないなと思いました。。。



このえーが　日本全国民に観て頂きたい位　素晴らしい！！

内容を知っていた上で観てもまったく退屈さは感じないと思います！！

現にアタクシ　８月２６日の某新聞の文化面でデカデカと「シッコ」特集されていたの見てしまってから　観に行きましたが　かえって良かったように思います（ただ単にアタクシ自身の知識がなく　たまたま新聞で予備知識入れたのが良かったのかも＾＾；）　

そして　アメリカの悪い処ばかりを描いているけれど　ムーアはホントにアメリカが大好きで大好きで仕方ないから　えーがというカタチでアメリカを少しでも良くしようと　奮闘している

ハートフルな気持ちが　不思議と　とても伝わってきます

その気持ちに　不意にアタクシ　何度か涙してしまいました

このえーがのもう一つの主題　それは

「人は本来助け合って生きていける」

じゃないかなぁ？

どこかで忘れてしまっているその気持ちを　思い出して欲しい　

そういう意味も込められていると　感じました

根本にあるのは　ありがちなテーマだけれど　それが今を生きている人々に一番欠けているものかもしれないネ


￥１，８００無駄にはさせません！！

「ダイ・ハード４．０」を観るなら「シッコ」を観なさい！！（笑）