趣味は読書、好嫌い

子供の頃、ある晩、夕食にほうれん草が出て、野菜が嫌いだった僕は、「食べたくない」と言ったのだと思う。　
父は「だったら食べるな」と言って怒ったのだと思う。　
僕はその夕食を、お茶とご飯だけで食べた。
その後、更に怒られたかどうかは覚えていない。
今でも野菜は苦手である。
しかし、たまには食べたくなる。
僕はずっと一人暮らしだから、食事はほとんど自分の好み。
何を食べるかは自分で決めるので、おかずを想像して、楽しむということは無くなってしまった。
子供の頃、毎日、遊び疲れて帰ると、母が夕食を作っているが、もちろん僕の好きなおかずばかりではかった。
でも、それが当たり前なのだと今は思う。
好きなものも、嫌いな物も両方食べるのが当たり前である。
たまには、全く興味のない作家の作品を読んでみるのも面白いのだ。
肌が合わなければ、次から辞めて、面白かったらリスト入り。
世評も書評も、売れ行きも何一つ、自分の好みを保証してくれない。
どの本も、読んでみなければ分からないから。
そして、読書という趣味の、そこが厄介なところである。