- 名前
- ウルトラ7
- 性別
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- 年齢
- 63歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- ガツガツして欲しい貴女、他の方をお訪ねください。 まったり、ねっとりの専門店です。但...
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福祉とは 絶壁の上の花園
2017年08月05日 05:27
福祉を必要としない
人には《福祉》って
他人事かも知れない
そして福祉は福祉を
必要としている人に
中々届きにくい構造
なのかも知れない!
古いフレサンは既にご存知だが、私は元ホームレスだった。
似顔絵を描いていた私は腱鞘炎で筆を折り、紆余曲折の末、リーマンショックで職と住まいを失なった。
路上生活のスタートは鮫洲の公園からだった。
事実上天涯孤独だった私は、誰に頼るアテもなく、漫画喫茶にあった『TOKYOチャレンジネット』という、1枚のチラシだけが頼りだった。
このチラシは、漫画喫茶のみならず、都内各行政の福祉事務所には必ず置いてある。
《働きたい》だが、《家がない》。
そんな人の窓口とされる機関だ。
数日かけて、歩きで北上した私は、『TOKYOチャレンジネット』のある新宿の歌舞伎町に辿り着いた。
『TOKYOチャレンジネット』は、歌舞伎町交番裏手のグリーンプラザという大型複合商業ビルの2フロアを使っている。
訪ねる前に、アポを取ろうと電話をした。だが、電話口で断られた。
「こちらは、(国から)貴方へお金を貸すシステムです。
家も仕事もなく、返せますか?」
つまり、“仕事はあるが家がない”なら、住居の初期費用は貸します、“家はあるが仕事がない”なら、職の斡旋はしましょう、とのこと。
チラシの謳い文句とは、違う!!
後で知るが、直接押しかけてきた
ホームレス
路上生活者には、タコ部屋を紹介していたそうだ。
『TOKYOチャレンジネット』は、相談実績、年間数千件を誇るが、当然、私の時のような門前払いも成績としてカウントされる。
何はともあれ『TOKYOチャレンジネット』に、行政へ行くことを勧められた私は、新宿区の福祉課を訪ねた。
福祉課の担当者は、最初は手ぶらだったが、『TOKYOチャレンジネット』に聞いて来た旨を告げると、苦虫を噛み潰したような顔をして、1枚の書類を取り出した。
それは、所謂《シェルター》の一覧で、ひとつ一つシェルターを指差しながら、「満杯」「満杯」と繰返した。
そして、ニヤケながら「ここでは、何もしてあげられない!」と断言した。
その後も誇らしげな笑顔で、ドコで寝たら危険で、ドコが安全だとか、路上生活の問題点をレクチャーされて、
「じゃ、気をつけて♪」
と、トビキリの笑顔で送り出された。
私は、あの笑顔は絶対に忘れない。
後で知るが、これを「水際作戦」と云うらしい。
この時、私は住所がなかったから厳しいが、例えば“生活保護”は、申請されたら役所は受理する義務がある。
だから、最初から生活保護の申請用紙を見せず、出さず、書かせないって戦法を取る。
住民が福祉の世話になることは、行政にとっては出費となり、その出費をどれだけ抑えるかが、この水際作戦であり、かつては、それができるのが、優れた職員とされた時代があったとされる。
新宿区の場合、区役所の福祉課の隣に『とまり木』って民間団体の窓口があり、路上生活の具体的な相談、食料配布等、全てをこちらが引き受けている。
これらの仕組みは、行政によって千差万別であり、例えば渋谷区は、路上生活者の追い出しには熱心だが、福祉課に来た路上生活者にも親身に相談に乗る。
が、何れにせよ、選択肢は限られているが、少しでもその隙間を埋めようと、様々な民間団体のボランティアの人たちが頑張っている。
私が出会ったのが、『ビッグイシュー』だった。
「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」というコンセプトのイギリス生まれの雑誌。
月2回の発行。販売者は全員、ホームレス。所定の路上のみの販売となる。
仕入れ値はオープンで、1冊を売って幾ら販売者の収入になるのかは、表紙に明記されている。
インタビュー(表紙の人物)、特集記事がメインで、本家イギリスからの流用、日本独自の記事で構成されている。
欧米はボランティアの意識が高いのか、映画等の宣伝を兼ねるとは云え、
・アンジェリーナ・ジョリー
・ジョージ・クルーニー
・ジョニー・ディップ
・ディック・ブルーナ
・ブラッド・ピット
・マドンナ
・レオナルド・ディカプリオ
・レディー・ガガ
―――等が、インタビュー登場の常連。
日本人で表紙&インタビューにの登場は
・西原理恵子
・坂本龍一
・茂木健一郎
―――等が、複数回登場している。
とは云え、正直、薄い冊子だ。
読者の方も、路上生活の販売者の自立を応援する意識での購入だ。
実際、販売者となった私は、それがご縁で練馬区の福祉関係の方とは懇意にして頂いたが、私が彼らに体験を話すと、様々な救いの手があることを告げられた。
そもそも『ビッグイシュー』の面接も、「生活保護を希望しますか?それとも販売者を希望しますか?」と、2択で最初に希望を聞かれた。
住所のない人間でも、専門家同行なら、生活保護は受けられるのである。
福祉の大きな問題点の1つがこれ。
様々な救済の道が実はあっても、そこに辿り着けない人があまりに多いのだ。
勿論、普通の暮らしをしていると、福祉の知識は勉強しないかぎり、知る由もない。
必要となった時に、必要な知識を知らないってのは、明るい道から急に暗がりに入ったようなもの。
況してや、世の中、善人ばかりって訳じゃない。
貧困ビジネスに代表される、弱者を喰い物にする輩が、余計な知識を、タップリ詰めこんだ、トビッキリの笑顔で待ち構えていてくれたりする。
本当の救済に繋がる人に出会えるか、どうかが、実は現実問題としてとても大事なポイントになってくるのだ。
このデジログへのコメント
たどり着くまでが大変なんですね…
他人の痛みがわかれば、教育のほとんどは出来上がる
(受け売りですが)
相手の立場になれれば、みんながもっと生き易くなりますよね
福祉って、誰のため?
> さくらな みきさん
その疑問は常にありますね.
哀しいです.
仕組み自体は弱者のためでも
仕組みを作って運用する人の
政治的な思惑抜きって訳には
中々いかないのが現実です.
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