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いわゆる共謀罪のこわさ

2017年04月28日 20:23

今の国会で、政府提案の、「テロ防止を目的とする」いわゆる共謀罪法案が審議されています。いつもと同様、アベ政権はこの法案も強行採決する構えですが、みなさんこのことをご存知でしょうか。

私もそうですが、テロ防止に反対する人はまずいないでしょう。が、この法案をよくみると、実はテロ防止の具体的な罪はなく、すべていまある罪に共謀の罪を付け加える形になっています。つまりテロ防止はたてまえ、国民に対する口実であり、実質は、既存のいろんな犯罪を計画された段階で取り締まるのが目的です。

犯罪が計画された段階で取り締まるのは、実際にオーム真理教などの事件を考えると、場合によっては必要だと思います。

しかし、テロを計画し、実行するのは、これまでも、ごくごく一部の人や組織です。もし犯罪を計画段階で取り締まるのが、これらの人や組織に限定されているなら、止むをえないと考える人も多いでしょう。

が、審議がはじまったこの共謀罪は、少数の特定の罪ではなく、驚くことに、なんと300近くの既存の罪に共謀の罪を付け加えるものなのです。

現在の刑法でもすでに、例外として、重大だとみなされる罪の場合は、犯罪の準備(予備)をしただけで処罰されるものがあります(たとえば殺人予備罪)。さらには、犯罪を計画した段階でそれに参加した場合、処罰される罪も、内乱陰謀罪など、きわめて例外的ですが存在しています。

これを一般の罪(一定の罪の重さが条件にはなっていますが)にまで一挙に拡大しようとしているのが共謀罪です。

すると、どういう事態が生まれるでしょうか。

普通、犯罪が罰せられるのは、具体的な人の行為があり、その結果、国や社会が保護している権利(生命、身体、名誉財産など)が侵害されたからですが、この場合、侵害された結果から警察捜査がはじまり、犯人を特定し、逮捕、起訴にすすむことになります。つまり、現在の刑法では、犯罪を実行し、結果が発生した既遂犯が原則なのです。この原則をひっくり返し、犯罪が実行され、結果が発生していなくても取り締まれるとなれば、共謀があるかどうか、警察はつねに監視できることになります。

共謀とは、ともに犯罪を計画することですが、計画なので、こころの中の思いを二人以上で確かめ合うことに留まるわけですが、それを犯罪として取り締まれることになれば、そのやりとりを証拠とする必要があります。やりとりは、口頭はもちろん、電話やメール、ツイッターなどのSNSなどもありますから、必然的にこれらの情報を追いかけることになるでしょう。

では、誰が対象になるかといえば、もちろんテロの可能性がある人や組織が第一にくるでしょうが、今回、対象の罪を一挙に拡大したので、ふつう市民や会社や組合、協同組合なども含まれることになります。おまけに誰を、どの組織を捜査対象にするかは、警察が一方的に決められのです。

共謀があったかどうかの証拠をメールやSNSで追いかけると言いましたが、もう一つ、犯人と疑われた人間の自供があります。さらにもう一つ、その組織などにスパイを送り込んでいる場合は、そのスパイの密告もありえます。自白が重要な証拠だとすれば、過去にあったいくつもの冤罪が示しているように、自白を得るために拷問的な方法が使われることになるでしょう。

さらにこの共謀罪でこわいのは、犯罪の計画をした段階で(もちろん裁判所の令状が必要ですが)容疑者を逮捕できることです。たとえデッチあげの逮捕で、証拠が揃っていなくても、つまり裁判にかけるために起訴できなくても、その容疑者や組織を事実上社会的な信用を奪うことができる点です。これがこの法案のキモだと思います。

つねに監視され、個人情報を収集され、場合によっては、犯罪を計画したという理由で尋問されたり、逮捕され、しかも場合によっては自白を拷問的な方法で強制される社会になるわけです。えー、それ、SFの世界や北朝鮮の話じゃないの、と言いたくなりますが、残念ながら、こんな悲惨な社会をもたらす共謀罪が、いま現在のここ日本で現実の法として強行採決されようとしているのです。

こう考えてくると、この法案の目的は、やはり、(テロなどではなく)、政権を批判したり、反政府運動をしたりする人びとを萎縮させ、その手足を縛り、場合によっては潰すことにあると考えざるをえません。その意味で、この法案は戦前治安維持法と狙いは同じですし、世界の独裁国家でおこなわれている予防拘束を実現するためのものととらえるのが妥当だと思います。

もちろん個人の内面、思想に警察が踏み込んでくるこの法案が、憲法違反であることは言うまでもありません。かりに法として成立させられても、おそらくは、実際に適用された場合、被告側は憲法違反の法として無効であり、無罪だと訴える裁判が頻発することになるでしょう。

もしこの法案が通れば、私たちの生活は、必ずしも目に見える形ではなくても、大きく転換することになるでしょう。残念ながら、私たちが当たり前だと思ってきた戦後の日本のありようがじわじわ終わっていくことになります。


以上は私個人の意見に過ぎませんが、みなさんもぜひ報道などに注意を向け、考えていただきたいと思います。そしてもしこの法案がヤバイと思われたら、ぜひ反対の声をあげてください。

このデジログへのコメント

  • mina.n 2017年04月29日 07:25

    反対ですけどね…
    一般国民の小さな声は、偉い人たちには届かないんですよね。
    偉い人たちだって過ちを犯すことはあるのに、一般国民ばかりが悪者にされがちですよね。
    むしろ偉い人たちの方が共謀罪ですよ。

  • タオ 2017年04月29日 09:11

    > ☆mina☆さん
    確かに。共謀罪は、ちゃんと企業の汚職の罪や警察の暴行罪は省かれていますし、それこそ森友事件は、アベ夫婦と官僚、議員の共謀ですね

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