- 名前
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- 年齢
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- 中身は40代。 気が弱く臆病だが、ココロは獰猛。
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日本人の病理、イジメ2
2015年03月24日 08:52
「逆境に生きた日本人」はシベリア捕虜収容所の抑留者がスターリンへの感謝状を書いたことを紹介しているが、その卑屈な態度は、GHQ総司令官マッカーサーに媚びへつらった占領時代の日本人に通ずると、著者の鈴木敏明氏は痛烈に告発している。
GHQ統治時代の5年間、マッカーサーを讃え、感謝する日本人からの手紙が40万通以上もGHQに届けられた。
鈴木氏は米MIT教授ジョン・ダワー氏の書いた「敗北を抱きしめて」を引用し、日本人の多くが手紙でマッカーサーを「神の如きご慈悲、寛大さ」「生きた救い主の神」と讃えたことを紹介している。
<ある青森県の老人は「昔は朝な夕なに天皇陛下のご真影を神様のようにあがめ奉ったものですが、いまはマッカーサー元帥のお姿に向かってそう致して居ります」と書いている>
感謝の手紙とともに、日本各地から山海の珍味や手織りの着物、帯、人形、陶磁器、書画骨董が山のようにマッカーサーのもとに届けられた。
また、GHQの命令に反して刀剣を隠し持っていた人々など「反アメリカ的」「反民主主義的」な人々の密告、告発も相次いだ。シベリアの収容所同様の日本人による日本人が告発が行われたのだ。
ついこの間まで「鬼畜米英」と言っていた同じ人の正反対の変貌。中でも新聞の豹変は大きく、マッカーサーを讃える記事の大合唱となった。
例えば敗戦1年後の1946年8月15日の朝日新聞社説。
<この1年間に示された連合軍最高司令官マッカーサー元帥の偉大な業績については、内外ひとしく賛嘆を惜しまないところである。われわれは、心から元帥に対して深厚なる感謝の意を表明するものである。元帥には、日本ならびに日本人をふかくいたわる気持ちがある。この気持ちが、日本の人民を信服せしめた>
当時、新聞はGHQの検閲を受けており、少しでも批判的なことをかけばしょっぴかれ、悪くすると戦犯として長期間投獄されない状況ではあった。だとしても、行き過ぎた美辞麗句に満ちているとは思いませんか。
1951年4月、マッカーサーが米トルーマン大統領から国連軍司令官を解任され、日本を離れるときなどは常軌を逸していて、読んでいて胸くそが悪くなる。
<われわれは終戦以来、今日までマッカーサー元帥とともに生きてきた。日本国民が敗戦という未だかつてない事態に直面し、虚脱状態に陥っていた時、われわれに民主主義、平和主義のよさを教え、日本国民をこの明るい道へ親切に導いてくれたのはマ元帥だった>(朝日新聞)
<ああマッカーサー元帥。日本を混迷と飢餓から救い上げてくれた元帥、元帥!……なんとお礼をいっていいのか。元帥! どうかおからだをお大事に>(毎日新聞)
離陸時の4月16日、NHKは離日を生中継で放送、学校は休み、羽田空港に向かう沿道に20万人が小旗を手に見送ったという。国会では「悩める敗戦国民に対する救世主」と感謝決議を行っている。
マッカーサーがいなくなっても占領軍はまだ残っている。サンフランシスコ講話条約締結は5ヵ月後の9月だった。だから、ここで手のひらを返したように離日するマッカーサーに冷淡な姿勢へとれば、占領期間が無期限に長くなるかも知れない。そう恐れて、大げさに絶賛し、別れを惜しむ態度をとった――。
そう解釈できないこともないが、だとすれば、恐れすぎである。小心翼翼とはこのことではないか。ここまでマッカーサーに媚びへつらう必要がどこにある。礼儀として感謝の言葉を述べるにせよ、もっと淡々とした書き方、言い方があるはずだ。
マッカーサーが統率するGHQは表面では言論の自由の尊重をうたいながら、影では微に入り細に入り言論を検閲していたのだ。日本人が貧困にあえいでいるとき、米国軍人は日本の税金をふんだんに使って贅沢をしていたのだ。それが大きな原因の一つとなって悪性インフレを招いたのだ。
それを政治家も新聞も知っていたはずだ。実際、米軍の浪費に抵抗していた政治家もごくわずかながら存在した。その筆頭が当時、大蔵大臣だった石橋湛山だった。鈴木氏は「逆境に生きた日本人」の中で、湛山を賞賛しつつ、こうした日本人が希少だったことを嘆き、湛山を守ろうとせず、マッカーサーに迎合する日本人をこき下ろす。
「私たち日本人は、変節、裏切りの遺伝子を持つため、変節者や裏切り者には実に寛大だが、石橋湛山のような信念を通す人には冷淡なのです」
こう言われると、がっくりと肩を落としたくなる。いちいちもっともな指摘だからだ。深く考えさせられた。
そこで弁明になるかも知れないが、なぜ日本人はこうなるのか。なぜ占領軍のような強い権力に対して見苦しいまでに媚態を示し、卑劣な変節を繰り返すのかという点を、私なりに整理し、次回に書いてみたい。
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