夏の夜空の思い出

5年ほど前の夏。
おれと知人Aは車で九州を旅行していた。

夜、海岸沿いの道路で、運転に疲れたおれたちは休むことにした。
夜空があまりにも綺麗だったので、ふたりは近くの公園で星と海を見ながら横になっていた。

いつの間にか、起き上がって辺りを歩いているAの声がする。

「信じられない・・・どう思う？　何もないぜ」

おれは、夜空を見上げ、目の前に広がる夜景の美しさに心を奪われていた。

「ああ・・・星座がはっきり見えるな」

「いや」

「街じゃこんなに綺麗に見えないな」

「そうじゃなくて」

「子供の頃はこういうの見たことあったんだけどな」

「違う。車が、レッカー移動された」



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