いつか会えるよね　(7)

合コンで、あの男性いいな、と思い、連絡先を交換した。
そのあと、食事に行った。

まだ、そんなに好きというほどでもない。

だから、話している時に、同僚の女の子の話をされても、笑って話していられる。

会ったり、話している間に、だんだんと、

好きになってくると、
本気になってくると、

他の女性の話をされると気になる。

本当は、他に好きな女性がいるのではないか？

私だけを見てほしい。
他の女は、見てほしくない。
私だけを好きになってほしい。

そう考える女性は多い。
女性に付き合う気持ちがあるならいい。

付き合う気がない、付き合える状態ではないのに、

私だけを見てほしい、
私だけを好きになってほしい、

と女性が思い始めると、男性は、困る。。。



(前回の続き)

Kさんが、マネージャーと会議室で話した内容を、俺に話してくれたとき、気になっていた言葉があった。

「Kさんにつかまれたと言っています。警察に言ってもいいですよ」
「私は、すべての話を聞いています。」

なんとなく、おかしいと思った。

「警察に言ってもいいですよ」

警察なんて、関係ない。これは、脅しだ。
マネージャーが客を脅すというのは、おかしい。なんか、感情的になっていないか？


「私は、すべての話を聞いています。」

その女性インストラクターは、マネージャーにすべてのことを話したのなら、本当のことを話したはずだ。
でも、その女性インストラクターは、マネージャーに、「Kさんがつかんだ」と言った。

なぜ、Kさんが、つかんだと言った？
言わないと、いけなかったのではないか？


なんでもない会話で、気づいてしまった。

スポーツクラブは、木曜日が休館日なので、水曜日が混む。
明日は木曜日だから休館日で運動できないな、と思うと、なぜか、水曜日に、みんな来る。

スポーツクラブの副責任者(サブマネージャー)は、よく、受付にも出ていたので、俺も話すことが多かった。
気さくで、良い人だった。

「水曜日は、混んでますよね。いつも水曜日にいらっしゃいますけど、疲れませんか？」
と俺は言った。

サブマネージャーは、
「マネージャーが水曜日休みで、私が金曜日休みなんですよ。マネージャーと私が2人同時に、休むことはないので、水曜日は必ずいるんです」
と言った。

研修や出張も、水曜日には入れないようにしているそうだ。


あれ？と思った。
マネージャーも、水曜日が休みなのか…。

その女性インストラクターは、水曜日が休みだった。

インストラクターは、水曜日が休みだと、木曜日が休館日なので、2日連続で休める。

さらに、その女性インストラクターは、火曜日が、遅番となっていた。

他のインストラクターも、水曜日と金曜日に休みたがる。
でも、インストラクターは、30人ぐらいいるので、ローテーションで休むから、水曜日や金曜日が定休になっている人はいなかった。一人を除いて…。

その女性インストラクターのシフトは、
火曜日・遅番、水曜日・休み、木曜日・休み。

明らかに優遇されている。
シフトを決めているのは、マネージャー。


火曜日は、遅番なので一緒に帰り、
水曜日、木曜日と休み…。
金曜日に出勤か…。


なるほどね。そういうことでしたか…。

俺は、仲の良いインストラクターに訊いた。
「あの2人は、付き合ってるんですか？」

仲の良いインストラクターは、
「そうですよ。よくわかりましたね。」
あっさりと、教えてくれた。

マネージャーとその女性インストラクターは、付き合っていたのだ。

マネージャーは、自分の彼女が、つかまれた。
だから、感情的にKさんを問い詰めた。

その女性インストラクターは、マネージャーと付き合っていたから、Kさんと会えなくなるから悲しい、なんて言えない。
だから、
「なんで、あんなに泣いてたのか？」
と言われたら、
「つかまれたから」と言うしかなくなった。

告白されたから泣いた、
別れるのが辛いから泣いた、

すべて、彼氏には、言えない。
だから、噂になっていることを、そのまま言った。

そんなところだろう。


マネージャーは、その女性インストラクターを採用するときに、付き合おうと思っていたらしい。
だから、働き始めて、すぐに付き合ったそうだ。

俺やKさんと出会ったころには、付き合っていたらしい。

その女性インストラクターは、
マネージャーと付き合いつつ、
Kさんとも、仲良くしていきたい。

そう思っていたらしい。

最初は、それで良かった。
最初は…。

でも、Kさんを本気で好きになってしまった。

好きな人が、他の女性と楽しそうに話していれば、気になる。

いつも、Kさんを気にしていた。
Kさんが、女性会員や他の女性インストラクターと話すと、嫌な顔をする。そのあと、Kさんを無視したりもする。

そこまで、サインを送られたら、Kさんが誘うのは当然だ。

でも、実際にKさんに誘われると、困ってしまう。
のらり、くらり、とかわしながら、中途半端な関係が続いた。

「好きよ」という合図を送りながら、
誘われると嬉しそうな顔をしながら、

「また今度ね」というような態度をとる。

こんなことをしていれば、問題が起こるのは、当たり前だ。


Kさんをとるのか、マネージャーをとるのか、どちらかにしなければ、いけない。


好きなのは、マネージャーではなく、Kさんだ。
6年間も待っているんだ…。
Kさんを本当に好きだったということが、わかる。

でも、その女性インストラクターからすると、Kさんと付き合うのだったら、スポーツクラブを辞めないといけなくなる。
マネージャーを振って、会員と付き合い、そのまま、勤め続けるのは、無理だろう。

インストラクターという仕事は、好きだ。
せっかく勤めたのだから、辞める気になれない。。。

Kさんと付き合いたいけど、インストラクターは辞めたくない。

さらに、Kさんは東大を出て、大手企業に勤めている優秀な人だ。
その女性インストラクターは高卒だ。

Kさんと付き合っても、バカだと思われて、振られるのではないか？

俺に言ったことがある。
「私、高卒だし。バカなのよ。Kさんみたいに頭良くないから」

Kさんは、他人をバカにするような人ではないのは、わかっているけど、不安…。
Kさんとうまくいくのか？

そんなことを　考えると、
なかなか、Kさんにするのか、マネージャーにするのか、決められなくなる。

その女性インストラクターは、どうしていいのか、わからないから、何かあると、すぐに悲しそうな顔をしたり、泣いたりする。


でも、そんなことをしていれば、すべてを失うことになる。
Kさんだけではなく…。
すべてを…。

(長くなってしまったので、続きは次回書きます)