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いつか会えるよね (6)

2009年06月15日 23:28

あれ?
うーん、なんかおかしい。
何がおかしいんだ?

例えば、
映画を見ていると、その話に入り込んでいるので、そのまま、違和感なく見てしまう。

でも、あとで、考えると、なんかちょっとおかしくない?
あんなこと起きないよなあ。
そっかあ、映画なんだよな。フィクションなんだよな。
と思うときがある。

あとで、冷静になると、ちょっと違和感があるとき。

そういうときがあると思う。


(前回の続き)

その女性インストラクターが泣いたあと、会員の間でも、

「Kさんが、つかんだ」
「Kさんが、しつこく誘った」

いろんな噂が広まってしまった。

その女性インストラクターは、困ってしまった。
噂が広がっていく。
Kさんは、何もしていないのに…。

他のインストラクターに、Kさんは、何もしていない、と言っても、
「じゃあ、なんであんなに泣いていたの?Kさんのことを、かばう必要ないんだよ。」
と言われる。

その女性インストラクターは、どうにかしないといけない、と思い、
「Kさんは、私のことを好き、と言ったんです」
といった。

Kさんは、私を好きなんだから、つかんだりしない。
そう言いたかった。
そう伝えたかった。


ここまで、噂が広がってしまったのだ。
何か言えば、どんなことでも、火に油を注ぐのと同じだ。


噂は、

Kさんは、しつこく誘ったのに断られたので、
女性インストラクター暴力をふるった。
だから、女性インストラクターは、泣いた。

そんな噂に発展してしまった。

Kさんは、他の女性インストラクターからも、軽蔑した目で見られるようになった。
暴力をふるった、最低の男…。


噂があまりにも、広まったので、とうとう、スポーツクラブ責任者(マネージャー)が、Kさんを会議室に呼び、話を聞くことになった。

Kさんは、何もしていないのに…。

マネージャーは、
「うちの○○インストラクターが、つかまれたと言って、泣いたんですが、事情を話していただけませんか?」
と言った。

Kさんは、
「○○インストラクターは、つかまれたと、言ってるんですか?」
と訊いた。

マネージャーは言った。
「Kさんにつかまれたと言っています。なんなら、警察に言ってもいいですよ」

Kさんは、
「そうですか。ご迷惑をおかけしました。つかんだつもりはありませんが、○○インストラクターがそう言っているのだったら、つかんだのでしょう。」

そう言うしかない。
つかんでないのだから…。

マネージャーは、言った。
「つかんでないなら、○○インストラクターが嘘を言っていることになりますが。私は、すべての話を聞いています。○○インストラクターをここに呼んで、話しますか?」

完全に、女性インストラクター片思いをして、
つかみかかった、問題会員という扱い。

Kさんは、考えた。
自分がすべて悪いことにしよう。
これ以上、モメても、女性インストラクターが、いづらくなるだけだ。
自分が問題会員ということになって、そのまま辞めれば、女性インストラクターは、そのまま、ここに勤めていられる。

問題会員が女性インストラクターを困らせ、そして、辞めた。
それでいい。

その女性インストラクターへの、最後の思いやり。優しさ。

これで、本当の別れだ。
今まで、ありがとう。楽しかったよ。


Kさんは、マネージャーに言った。
「すみませんでした。誤解を招く行為をしたのは、事実です。」

マネージャーは、
契約期間まで、いてもいいですが、○○インストラクターとは、話さないでください。」

Kさんは、
「わかりました。」
と言った。

マネージャーの中では、Kさんは、2回もその女性インストラクターを困らせた、最低の会員。
早く、辞めてほしい。
もう、こないでほしい。

これが本音だ。

次の日、Kさんが来た。
もう、こんなスポーツクラブに来るのは、嫌だと思うが、Kさんは来た。
軽蔑した目で見られるのは、わかっているのに、Kさんは来た。

Kさんは、仲の良かった人たちに、別れの挨拶をしたかったのだ。
非常に律儀な人だ。
Kさんは、本当に良い人だと思う。

Kさんは、仲の良かった人たち、みんなに挨拶をした。
さらに、仲の良かったインストラクターたちに、お菓子を渡して、「スタッフルームでみんなで食べて」と言って渡した。

今まで、トレーニング方法を教えてもらっていたお礼

本当に良い人だと思う。

Kさんは、俺のところに最初に来て、そのあと、他の人に挨拶をしていった。
受付の人にまで、挨拶をして、そのまま帰ってしまった。

だから、電話番号もメルアドも聞けなかった。
俺は、Kさんと会ったのは、それが最後だった。。。


でも、その女性インストラクターは、一週間後、たまたま、Kさんに会った。
Kさんが、ロッカー忘れ物をしたので、とりにきたそうだ。


その女性インストラクターは、俺に言った。
「こんにちは、て言ったのに、無視されちゃった。もう、完全に嫌われたよね」
悲しそうにしている。

無視ではなく、「話すな」と言われているのだ。
話すわけない…。


Kさんが退会した後も、
その女性インストラクターは、いつもジムの入り口を気にしていた。

「Kさんが、また、笑って入ってくるような気がするのよ」
と俺に言った。

もう来ないとわかっているのに、Kさんが、笑いながらジムに入ってくるのを待つ。。。

いつか会えると思って…。


Kさんが、いなくなってから、俺もつまらなくなってきた。
スポーツクラブに行く回数も減った。


しかし、Kさんがいなくなって、落ち着いてきたら、
俺としては、なんか、釈然としないものがでてきた。

この話は、なんかおかしくないか?
その女性インストラクターがKさんにとってきた行動は、24歳の女性がとる行動か?

24年も生きてきたんだ。
いろんな恋愛もしてきただろう。
普通より、かわいいんだ。
告白もされてきただろう。

なのに、なぜ、あんな行動をとる?
Kさんに告白されているのも気づいていただろう。
「誘い」を断れば、Kさんに会えないこともわかっていただろう。

だいたい、24歳のインストラクターが、なぜ、こんなに泣く?

この女性インストラクターが泣きやすい女性だ、というだけなのか?

何か違和感がある。
何か理由があるような気がする…。

例えば、数学の問題だったら、
答えがわかれば、
あ、そうなのか。
と思う。

恋愛の場合だと、答えがわかっても、理由がわかっても、
うーん。
「…」
となる。


偶然だった。
その女性インストラクターと話していて、
え?と思った。
そんなことだったのか…。

Kさんは、被害者なのかもしれない。。。
そんな気がした。。。


(長くなるので、続きは次回書きます)

このデジログへのコメント

  • Diggy 2009年06月15日 23:49

    わたしも違和感感じてました…
    なんかあまりにも…
    でもKさんの汚名は晴らすべきだったと思います

  • モモ 2009年06月18日 09:36

    続きを楽しみにしています~!!!
    小説より読み進んじゃうお話でした。
    kさんは強い人ですね。

  • shinji 2009年06月20日 16:25

    > Diggyさん コメありがとうございます。Kさんがかわいそうでした。最後まで、その女性インストラクターのことを考えていたのは、すごいな、と思いました。

  • shinji 2009年06月20日 16:26

    > ハルカさん コメありがとうございます。同僚には、ちゃんと説明するべきですよね。つかまれていない、てことを。

  • shinji 2009年06月20日 16:27

    > モモさん コメありがとうございます。Kさんは、強くて優しくて、礼儀正しい、良い人でした。あんな噂がたったのは、かわいそうでした。

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