【ココペリ家の七不思議◆

＜第二話＞　～オオカミ少女～　　

我が家は兄弟が多く８人家族だったために毎朝のトイレタイムは大変だった。そのため父は僕が幼稚園に入る頃、二階にある子供部屋にもトイレを増設した。

それからしばらく経った満月の晩のこと、母はどこか近所で犬の遠吠えが聞こえてくることに気が付いた。近所に犬を飼っている家がなかったことと時間が真夜中の午前二時頃であったため、胸騒ぎがした母は子供達が心配になり二階の子供部屋へと向かった。

そっと暗がりの中、二階の子供部屋の戸を開け目を凝らすと長女と次女の姿がベットに見えない・・・母は慌ててベットをあらためるが姉達はやはりいない。胸騒ぎが的中したと思った母の頭の中ではいろいろな悪いことが駆け巡り、慌てて父を呼びに行こうとしたその時どこからか再びあの怪しい犬の遠吠えが聞こえてきたぁ・・・方向はどうやらあの増設したトイレの方向だ。

大事な子供の命にも関わることと思った母は勢いよく戸を開けて中を見て叫んだぁ！　「あんたらここで何してんのぉお!!!!」

そこにはパジャマ姿でニコニコとトイレの窓からお月さんに向かって遠吠えしている長女と次女の姿があった・・・夜中、トイレに起きた次女がトイレの窓から見えるお月様があまりにも綺麗だったので長女を起こし二人で窓から眺めている内に、ふざけて満月に向かってオオカミの遠吠えの真似をしていたのであったぁ。

その晩、ココペリ家には「こんな夜中に近所迷惑でしょうがぁ!!」と凶暴に子供たちの尻を叩く狂犬のような母と、泣き叫ぶ小さなオオカミたちがいた。