ﾊﾗｽﾒﾝﾄｼﾘｰｽﾞ★Ａ氏とＭ

『なかで会議が始まると雨が本降りになってきて、
会議そのものは3時間で終わって、後はお茶会だ。ビール飲んで軽食食べて雨が止むまでなかにいたんだ。で、雨が止んで、部屋を出たのは8時ごろだけど』Ａ氏は一旦言葉をとめてまた静かに話し出した。
『知人が車で送ってくれるというから一緒に建物から出て鉄扉開けて敷地外に出たら･･･』

「Mはまだいたんですか？」
（そんな･･･半日も･･･）私が聞いてみると、
A氏曰く『うん、横合いから、Ａさんと呼びかける声のするほうを見ると…』
『Aさん待っていました、と震える声で頭からずぶ濡れの彼がフラフラしながら近づいてきたんだ』

（半日も寒いなかで？雨のなかで？＠＠）

『濡れねずみになって、顔色はヒドイし唇は真っ青だし全身をガタガタ震わせてるしで･･･知人が取り合えず彼を暖かい場所へ連れて行ったほうがいいと言って、私は彼に自分のコート脱いで着せかけて、知人は健康ランドに行ってくれたんだ』

『車の中で彼は体を縮こませて震えていたから、私は彼をずっと抱き込んでいた。彼の体は氷のように冷え切っていたよ。知人は何がなにやらわからない様子だったけど･･･』

（そりゃ、何がなにやらわからないよ。Ｍのやつ、まったく関係ない人にまで迷惑かけるんだな）とあきれたが、同時にその執念にゾッとした。

（ウラに続く）