へんしつしゃ　が　あらわれた！

コートが欲しくて仕方がなくなったので、見に行きました。
今年の流行は良くわかりませんが、ファー使いやベロア、ショートコートが主流なのでしょうか。営業熱心な店員さんがしきりにそのあたりの商品を勧めてくれました。
ファーは売れてるよだとか、ベロアは軽くて触り心地がいいよだとか、何度も同じ事を繰り返して解説してくれるのでいい加減に聞き飽きます。
そこまでしてコートを売りつけたいのかと思いましたが、向こうはそれが商売なので当たり前ですね。

店員さんのお勧めを数点試着してみました。
確かにどれもなかなか良いもので、流行が去っても見るに堪えうるもの(そもそも、安易に流行に乗る気はありませんが・・・)でした。しかし、どうもピンと来ない。
そんなもやもやとした感覚が胸のうちに渦巻いていたとき、壁に掛けられていた一点のコートに目が行きました。
一見するとシンプルな黒いコートのようですが、目を凝らしてみると何やら刺繍が施されているようです。
店員さんに尋ねてみると、どうもお目が高かったようで、カスタムカルチャーとかいうイタリアのブランドで、一品しかない目玉商品とのことでした。
全体的に特殊な糸で神妙な刺繍が施されており、光の当たり具合でそれが見えたり見えにくくなったりするという、おもしろかっこいい仕様です。
ぱっと見ただけではシンプルなのに良く見ると味がある服が好きなエンドウさんとしては、趣味のど真ん中をいくコートです。しかも、丈も長めであり、色使いといい何もかもが好みで自分のためにあるのでは・・・と錯覚してしまうほどです。
しかし、お値段のほうが3万円弱と、高くはないが決して安いものではないという具合なんですよ。さびしげなお財布と押し問答を繰り広げた結果、泣く泣くあきらめることにしたのでした。

ところで長いコートといえば、変質者が連想されます。
いや、エンドウさんは決していかがわしい目的でロングコートが欲しいわけではなく、単純に趣味というだけですよ。
それはともかく、足首まで隠れるようなコートで身を包んでいるが、その中身は全裸。そして、通りすがった女性の前でコートを広げ、羞恥と恐怖に歪む変質者がいますね。
いわゆる露出狂という輩で、嫌がる女性の姿やその行為自体に快楽を覚えるという、異常性癖といってもいいぐらいの趣向です。
自己顕示欲の変型だと思いますが、あまり自分にはないものなのでいまいち理解しがたい部分があります。
彼らの気持ちを探るために同様の行為に走るという選択もありますが、もしそんなことをしたら、「ぷ」っと鼻で笑われたり、「しょぼいチンコなんて見せるな！」と一蹴されて、むしろ自分がダメージを受けそうなのでとてもできません。

変質者というのはなにも露出狂に限ったことではなく、直接的な暴力を振るってきたり精神的な嫌がらせをしてくる者や、性的な危害を加えてくる奴の全てが該当するといっていいでしょう。
名古屋で一時期有名になったのは「セーラー服おじさん」という人で、彼は中年男性にもかかわらずセーラー服(おそらく本物ではなく、コスプレ用のイミテーションでしょう)を着用し、なんとまあ公共交通機関を乗り継ぐという奇行を繰り返すという変態模様でした。
そんな彼には、中学校の遠足で地下鉄に乗ったときに遭遇したんですよ。
ただセーラー服を着て電車に乗っているだけなのですが、それ自体で嫌悪感を沸かせてくれますから、堪りません。興味津々で仕方がない同級生が話しかけるという蛮勇を見せてくれましたが、際立った会話を繰り広げたわけではなく、口を開けばどこにでもいそうなおじさんでした。

セーラー服おじさんを見たのはほんの偶然で、近所で変質者なんか出ないだろうと根拠もなく思っていたのですが、ついに先日エンドウさんの住む地域でも変質者が発生しました。
通称「針金おじさん」なる人物が現れるから気をつけろと学校で言われたと、中学生の妹が教えてくれたのです。
針金おじさんは下校中の小中学生の女子にのみ針金細工を作ってくれるという、これまた常識からずれた行動をするといいます。
そんな、見ず知らずの中年男性が女の子に限って針金細工を作ってくれるなんて、裏がありそうで気持ち悪いと思うのです。子どもが好きで単なる善意からの行為と解釈することもできますが、どうも油断ならないこの時代柄、どうしても悪意があるのではと勘繰ってしまいます。

家の近くに針金おじさんっていうサイコ野郎が出没するんだよと、友達に話したら「エンドウの妹や小中学生が危ない！」と先走ってくれまして、まだ花開かぬ花弁を守るために針金おじさん狩りをするということに話が飛躍してしまいました。
しかし、瞬間最大風速みたいにご近所の話題となった針金おじさんですが、あっという間にその影が囁かれなくなり、どうも出没しなくなったようです。
代わりと言っては何ですが、今度は女の子を車に連れ込もうとする変質者が現れたようです。こいつはその能動性が危険で、針金おじさんなんか比ではありません。

この先、思いがけないところで変質現場に出くわすこともあるのでしょうか。
変質者に怯えながら生活しなければならないなんて、この近所も世知辛くなったものです。