刺激的な夜にひとこと

九州一の繁華街と言えば、福岡・天神。
その中心近くに、警固（けご）神社という大きな神社があります。

杉の巨木が立ち並ぶ境内は、
昼間こそ付近を行き交う車の音や人々の声でにぎやかですが
深夜になれば都会にいることを忘れるほどに静まり返ります。

ある夏の夜でした。

天神での用事が長引いて、すっかり遅くなってしまった私。
普段なら夜の神社の境内なんて怖くて通らないビビリなのですが
境内を突っ切って行けば我が家へ向かうバス停への近道です。

雲間に見え隠れする月の光を頼りに
おそるおそる境内に足を踏み入れて木々の間を歩いていると…

どこかから不気味な声が聞こえて来るではありませんか。

細く長く、とぎれとぎれに聞こえる声。

「うぅ…、うぅ…」

地獄の底から私を呼んでいるように聞こえました。

一瞬その場に固まった私。
ゆっくりとその声の方向に目を向けました。

そこには…

スカートをまくりあげて杉の巨木を抱きかかえる若い女性と
その女性の後ろから腰を打ち付ける若い男性の姿が。

若い二人はホテルでのありきたりセックスより
神社の境内という神聖な場所の刺激を求めたのでしょうか。



ふたりに気づかれない様、そっとその場を離れたわけですが
夏のHは、人の目に注意しましょう、というお話でした。