- 名前
- 松田文学男爵
- 性別
- ♂
- 年齢
- 60歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 君はきっと、 僕のことが好きなんだろう。 そんな君を前にすると、僕も君のことが好きな...
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デリバリー
2020年08月15日 20:40
専門学校生の時、デリバリーやってる寿司屋でバイトしてた。
たまたま支店で事故した奴が出て
代わりに配達するためにそっちの店に行った。
話が変わるけど、オレの住んでる所には
県内では有名な幽霊マンションていうのがある。
かなりデカいマンションで
地元では幽霊マンションと誰かが呼んだことから
オカルト好きなヤツの間ではそう呼ばれるようになった。
場所も市内の中心地に近く、
部屋も豪華なはずなのに空き部屋が異常に多い。
一時期、酷い時にはとある階層で一部屋飛ばしで
4件ほど部屋が売られることがあった位だから
相当おかしいよね。
まぁ何のことはなくそこから配達の依頼が来たわけで、
もちろん振られるのはオレ。
目立つから場所はよくわかるし
大きなマンションは仕事も楽だからって初心者に回されるわけ。
車に乗ってマンションに行くと、お高いマンションなのに
エレベーターホールの電気が所々切れてたりする。
気にせず9階のボタンを押して
指定の部屋に寿司を持っていったんだけど、
何度呼び鈴を鳴らしても誰も出てこない。
時間は21時少しだったけど、
もしかしたら急用で出たのか?と思って
何度か呼び鈴を押して一度店に連絡とろうと車に戻った。
んで店から
「もう一回訪ねてみて出てこないようなら持って帰ってきて」
と言われ再度エレベーターに乗る。
その時丁度酔っぱらったスーツの男性が
小走りで駆けこんできた。
軽く頭を下げて「何階ですか?」と聞くと「9階で」と言う。
「あ、同じですね」と答えると小声でニヤっとしながら
「何号室?」と聞くので「〇〇号室っす」と
オレも小声で答えると男性が急に仰け反った。
オレ、息臭かったかな?と思って男性から距離を取ると、
男性は急に真面目な顔をして言ったんだよ。
「そこ先週、住んでた人が自殺して空き家だぞ」と。
もう完全に顔面蒼白よね。
酔っぱらいの冗談かと思って
「冗談ですよね」と聞いた瞬間に9階にたどり着いた。
男性の部屋はエレベーターを降りてすぐの部屋。
問題の部屋はそこから3件隣の部屋。
オレはそのまま目的の部屋に歩いて行ったんだけど、
男性は玄関の前でこっちを不安そうに見ている。
何度か呼び鈴を鳴らしたあと
一切物音も人の気配もしないから諦めて
足早にエレベーター前まで戻ると男性が声をかけてきた。
「本当にあそこ?一つ下の部屋とか上の部屋じゃないの?」と。
けど何度確認しても〇〇という苗字はその階にしかいなかった。
男性は「おーコワ!なんじゃそりゃ!」と言いながら
玄関に飛び込んでいった。
言われた通り車に荷物を積んで店に帰ると
店長に物凄い勢いで怒られた。
曰く、〇〇さんから電話があって
「いつまでたっても来ない」と怒られたという。
部屋を間違えたんじゃないかと激怒する店長に、
その部屋の話をして実際に出てこなかったという話をすると
「そんな筈ない」首を傾げた。
結局信じてもらえずに店長をつれて
もう一度マンションに向かって部屋の呼び鈴を鳴らした。
やはり部屋からは何の反応もない。
表札こそあるけど、いくら呼び鈴を鳴らしても出てこない。
22時少し前だったけど、さっきの男性に話を聞こうと思って
エレベーター前の部屋まで行く。
店長が「本当にこの部屋?」と聞くので
「そうです」と答えると、店長が玄関を指さした。
その男性の部屋も空き部屋だった。
オレはその日に仕事をやめて
それ以降そこには近づいてすらいない。
けど嫌でも生活してたら目につくところにあるんだよなぁ…。
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