趣味は読書、another side

横溝正史に夢中になったのは、多分、中学二年の夏休みから。
静岡に住む伯父の家に遊びに行き、二つ年上の従兄弟と一緒に沼津に出かけて、沼津駅の駅ビルにあった書店で「悪魔の設計図」という作品を買ったのが初めだ。
その頃にはもう、角川文庫の横溝正史ブームは始まっていて、書店の文庫本コーナーには、横溝正史のおどろおどろしい表紙の文庫本が、平積みにされていた。
僕はまだ、横溝正史について何の知識もなく、ただ「悪魔の設計図」の表紙が、綺麗な女性の上半身裸のイラストだったので、完全にいやらしい目的で買ったのである。
しかし、良い意味で期待は裏切られた。
それまで、江戸川乱歩やルパン、ホームズくらいしかミステリーを知らなかった僕が、全く違うミステリーに出会った。
「悪魔の設計図」は金田一ものではなく、戦前の由利、三津木コンビが活躍するシリーズだが、とても面白かった。
その後、「犬神家の一族」を読んで、完全に横溝正史の虜になり、暫く横溝正史ばかり読んでいた。
横溝正史と言えば、金田一耕助だが、今度、由利探偵ものがドラマ化され、角川文庫では、かつての表紙で由利探偵シリーズを復刊している。
映像化がきっかけであるにしろ、ともかくもう一度横溝正史の金田一以外の作品が日の目を見るのはとても嬉しい。