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邂逅①

2020年05月13日 16:37

邂逅①

女子が学問を身につけて何とする。と詰られも

ただただお国のため、愛しき者のためと

学業の終わりには援農に赴き、イモや大根を植え、掘り

空腹の毎日でありました。


十二の私においては、お慕いしていた近所の兄様と神社にて逢瀬

(そろそろ私も戦場へと参ります)の報を受けた際には

地が揺れるほど泣き申しました。


兄様に呼び出され、援農ののち神社に出向きますると

兄様に社へ導かれ、強引にも服を脱がされ

後生だ。女の肌も知らずに死なせるな)と

家畜のごとく兄様の男棒を突っ込まれました。


私が大事にしていたものは崩れ去り

兄様は果て、社の扉を開けますると

兄様の級友や子分が数名、待ち受けておりました。


(次は私である)(いや私だ)と、争いながら私に男棒を次々にのめり込ませ

男というものの恐怖は、ここから始まりました。


私の嫌だという言葉はかき消され

あれほど優しく、兄様をお慕いしていた私は

男たちの汁気にて身を汚され

恥ずかしさで家を出ることを決意しました。


暗闇を歩き、東京府を目指し道すがら

こん棒を持ち歩いた男に道をふさがれ

命を懇願する私に2銭を渡し

男は男棒を私に深く突き刺し申しました。

(女でありながら、挺身を忘れてはいけない)と私に何度も怒鳴り

府にさえ行けば女のみでありもうしても、生きる術があると信じ込み

軒下で雨をしのげば、軒の持ち主より

木の下で陽を避ければ、木の持ち主より

(挺身なくして勝利なし。今はこれを鎮めよ)と

いかなる男にあっても、男棒をまだ幼い私に突き刺しては、精を出し尽くし

恩師の教えとは違う、男の本能を一寸の近さで知ったものでした。


寺に拾われ、坊主様の身の回りの世話で生き永らえましたが

坊主様もやはり男。経をあげたのちに私を部屋に呼び

(男棒に口づけをし、精を掬え)となまぐさなる始末でした。

鬼畜に会っては、股より四肢を割かれる。どちらが貴様にとって良い結果であるか)と問われ

逆らうだけの力も知恵も持たずの私には

男棒を含むことしかかないませんでした。


十三坊主様の子を孕み、そして産み落としました。

子はすぐに引き取られ、私は名をつけることもなくただただ泣くばかりでした。

隣組に組み込まれ、連日連夜の作業ののち

商家の爺や豪農の爺にて、見世物小屋の動物のように

知らぬ男にただただ男棒を突っ込まれる毎日が地獄でした。


土手を歩き、使いの帰りの私に

見知らぬ男が襲い掛かりました。

嫌だ離せと申す口をふさがれ、頭を抑え込まれ

男は後ろより男棒を突っ込みました。

やめろ離せとそれでも答えるうちに

空より敵の飛行機が現れ、警戒の鐘が響くより前に

射撃を私に向かいおこないました。


私はとても嬉しかったのですよ。

これで死ねると思いましたが

敵よりの射撃は私には当たりもせず

私の後ろより男棒を突っ込んだる男の肩から上に見事命中し

私には下半身だけの男が、血を吹きながらつながっておりました。


男の血を川で流し、私は府を離れることとしました。

街道を歩けば、また襲われるだろうと

知らぬ道、細き道を選んでは歩き

軒下で雨を避け、山にて食べ物を探し

人家にて作物や服を盗み

しかし私は府をたださまよって居るだけでした。


やがて戦争は終わりました。

相手さんが食べ物をくれると噂を聞いては、文京へ向かい

金になる仕事があると聞いては、新橋へ向かい

夕から夜には、身売りをいたしました。

やがて銀座にて、米兵が闊歩すると

私も軒にてパン助として、米兵の男棒にて銭を貰うこととなりました。

子を産み落とし、3人の子を抱えますると

その日暮らしとなるのは身に辛く

故郷へと帰りたいと思うほどとなりました。

ヤギパンで稼いだわずかな銭を握りしめ

子を従え、ゆるりと故郷へ足を進めました。

幼子の歩みなど、日に半里ほど良くて二十里

故郷までは長い時間がありました。


銭がなく、子を従えたまま街娼をしました。

(いいか目をつぶれ。声をかけるまでは耳をふさげ)と幼子たちに言い聞かせ

その横で見知らぬ男より5銭を貰い、股を開いたものでした。

日に5人も股を開けば、私ら4人は食いつなげました。

その旅にて素知らぬ男のだれかの子を孕んだ私は、お腹の子に悪いと知りながらも

身重のまま街娼を続けました。

綾瀬の村にさしかかり、お腹が苦しくなりました。

軒を借りて休みましたところ

(どうした、子が産まれるのか。ようし、家に上がれ)と声をかける男がおりました。

親切に甘え、その家にて子を産み落としました。


(お前の家はこの近くではないのか。では、しばらくここで暮らせばいい)

そのお方はとても親身になってくれました。

まだ幼き子たちにも三度の飯をたらふく与え

(たくさん喰え。気遣いはするな)

何度も申してくれました。子と遊んでもくれました。

私は腹に決めて、そのお方に申し上げました

(お金を持っておりません。思うが儘お嬲りください)

そのお方は、とても怒りながら申してくれました。

(やあ私を見くびるな。情けで人は救うが、落ちぶれておらん。何よりお前は母だろう。子の前で身など売ってはいけない)

私は大粒の涙がたくさんこぼれ

生き地獄にてお釈迦様に会った気分になりました。


私はしばらく、このお方のお世話になりました。

子の名前もいただきました。

(そうか我が家で産まれたなら、全てをもって佳(よし)とする。この子はすでに人であるゆえ、人偏はいらぬ。
圭一としよう)

私ら親子5人は、3年の時間をこちらで過ごしました。

いつの間にやら私はこのお方を旦那様と呼び

私を名前で呼んでくれるようになりました。

旦那様には妻子はおらぬのですかと尋ねれば

(戦争より戻り、疎開先の空襲にて死んだと知った)

悲しげにお答えされました。

旦那様、女子の肌身が恋しければどうか私でお我慢くださいと申し出れば

(お前にそのようなふしだらな気持ちは持たぬ。良き母であり良き使用人たれ)

と、私を大事にしてくださいました。

子たちと私に、旦那様は字を教えてくださいました。

(いいか、良き母は良き教育者たれ。女が字を書けて何の問題がある。本を貸そう、たくさん学べ)

それは口癖のように、何度も私に言い聞かせてくれました。

台所仕事の不得手な私は、幾度も料理台無しにしましたが

(誰しも得手不得手はある。針仕事水仕事が女子のものだと誰が決めた。私はどちらも得手だ)

と、慰めてくれました。

幾人もの男に嬲られ、幾千もの男に腹の中をまさぐられた私には

旦那様との日々がまるで竜宮城でのひとときのように、素晴らしい時でした。


子たちを連れ、野菜を買いに出向いた農家からの帰りでした。

旦那様が息を切らし、目の前に現れました。

(お前たち、すぐに逃げろ。国賊狩りをしている。子たちが危ない)

米兵との合いの子である、次番目と三番目の子たちは、化生の子と詰られ

殺されてしまいます。

私は子たちを抱え逃げました。

(振り向いてはいけない。逃げろ、走れ)

はるか遠くで旦那様の声が聞こえ

そして旦那様を大勢で殴る人々の姿が見えました。

私は恐ろしく、二度と振り返ることができないまま走りました。


小菅監獄まで息を切らし、子たちと身を寄せ

ふた月ほどのち、私らは故郷へと帰りつきました。

生家では姉が跡を取り、異国で散った兄の仏壇もありました。

姉は私に(ここでは暮らせない、よそへ行きなさい)と

いくばくかの銭をよこし、身切れと相成りました。

私らは川沿いを歩きました。

二日ほどのち、空き家となった家を見つけ

そこで暮らすこととなりました。


農家で仕事を貰い、田畑を始めました。

作物を増やし、銭を増やそうとしましたが

思うように増えず、ここでも街娼の真似事で食いつなぐほかありませんでした。


ある日、男が戸を叩き尋ねてきました。

(ここで身売りしてるのか)

その男は私を買いにやってきたのですが

その男は、かつて故郷にて兄様と一緒に私を嬲った子分のひとりでした。

私であることに気づかず、銭のためと私は股を開きましたが

男は私に精を出した後、昔話をしました。

(かつて、自分の村にいた女を探している。私はそいつに惚れていた。ひどいことをした、謝りたい)

それは私のことだとわかりました。

程無く、その男と共に暮らし始めました。

幸せだと思った生活はひと月ほどで

男の金遣いと暴力に私は勝てませんでした。

ある日は、男が自宅に男を数人集め

(お前たち、うちの女は安くて頑丈だぞ)

そう言っては次々に男を集め

いつしか私は田畑の仕事をやれず、男の相手で日が終わるほどでした。

二度三度子も孕みましたが、流れてしまいました。




続きます

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