誘惑

浪人していた時のこと

予備校の先輩がパン屋でバイトをしていた。

ちょうど忙しくなる時期だったので、

もう1人バイトを探しているとのこと。

僕も別なバイトが終わったところなので、

ラッキーと思い、OKした。


アンパンが焼きあがったらマーガリンを塗ったり、

惣菜パンを作ったり、楽しかった。


ひと月ほど経ったある日

終わって帰ろうとした時に

店の奥さんに呼び止められた。


・・君、今度の土曜日は暇？


ん～特に予定ないし、バイトも休みだけど

何か手伝ってほしいのかな？

くらいに思ったら、


・・横浜に行かない？
お寿司ご馳走してあげる・・


お店の奥さんから言われたし、

寿司という言葉に目がくらんで

素直に、はい と言った（笑


駅で待ち合わせると

奥さんは和服姿。

普段は白のユニフォーム姿なので

ちょっとビックリ。

水色でシックな花柄の着物は、

今でもしっかり記憶にある。



奥さん・・当時は30の後半か40前半って感じ。

普通に整っている顔立ちで、明るい人。


桜木町で降りて、路地裏の寿司屋へ入った。

カウンターが厚い一枚板の高級そうな店。


好きな物を頼んでねっ、と言われて

確か、好きなしめ鯖と玉子を頼んだかなぁ（笑

あとは言われるままに、ウニとか食べたっけ。


奥さんは日本酒をチビりとやっていた。



ねぇ 聞いてくれる？


と、話が始まった。

・・実は先輩とのことなんだけど・・

男と女の関係なの。


お店の旦那さんは優しそうな人。

夫婦仲も良さそうだったから、

まさかそんなことだったとは、つゆ知らず。

そして、話は続く・・

もう、シーツがビショビショになるくらい

濡れちゃうの。 声も出ちゃう。


お茶を飲んでて咳き込みそうになった（笑

その時、先輩は店の2階に下宿していて、

その部屋で行為に及んでいたとのこと。


体位はこうだとか、聞かされる身には

鼻血が出そうなことまで（笑

どうしてそこまで言うの？

とは思ったけれど黙って聞いていた。



少し酔ってきているのだろうか、

こちらに身体をあずけてきた。

何だかとってもいい匂いがしたっけな。


・・今夜・・帰りたくないの・・


鈍感な人だって、すぐ分かるお誘い（笑

寿司屋の周りはラブホのネオンがあったし。


でもね、

その時は彼女がいた。

彼女とのセックスに満足していたから

奥さんとする気は起きなかった。

今なら、据え膳なんとかだけど（笑


奥さんにはこう言った。

明日の朝、予備校にいかなくちゃなので・・と

すいません、また今度・・


下手な言い訳だし（笑



その後、奥さんからの誘いはなかったけどね（笑