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43歳の過ち その58

2018年11月09日 08:16

このまま、僕の車についてくる振りをして、逃げ出すことも出来るのに、
大人しく彼女の車はついてくる。

立駐の一番人気のないところに車を停めると、彼女も僕の隣に車を停めて、僕の車に乗り込んで来た。
「びっくりしたよぉ。なんで(今日来るって)わかったの?」
彼女の声が弾んでいる。
「いや、何となく、ね。
 それより、やっと逢えたね。すっごく嬉しいよ」
僕はそう言いながら、そっと彼女の手に僕の手を重ねた。
「ねぇ、ダメよぉ。今日は『お友達退院祝い』なんだから。
 お友達とはこんな事しないよぉ。」
そう言って僕の手を左手でぴしゃりと叩くけれど、全然力が入ってない。
それじゃちっとも痛くないよ。
それどころか、左手まで僕の手と重なったままだし。

彼女は、僕の左手を両手で優しく包むように撫でながら
「大変だったね。本当に大変だったね。」
と涙声でつぶやくように言った。

僕も、泣きそうになったけどぐっとこらえて、
「うん。物凄く頑張ったよ。だから、、、だからご褒美が欲しいな。」
と優しくその手を引いて、彼女の肩を抱き寄せた。

「ダメ、、、ダメだよぉ。」
彼女はイヤイヤするように顔をそむけたけど、顎をクイッと引き寄せると、目をつぶった。
久々の柔らかい感触。

「もう、、、お友達とはこんな事しないのにぃ。」
そうだね。
「じゃあ、こんなコトはどうなのかな?」
僕は肩を抱いていた腕を伸ばして、胸元に指を這わせた。

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