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それはそれであり

2005年10月08日 23:01

愛し合う男性と女性が、手をつないで歩いたり抱きしめあったりキスを交わしたりセックスをするのは超普通。
例え年齢差があろうとも、社会的にアレな間柄でも、異性間に性的愛情が生まれるのは当然のことです。まあ、セックスレスという問題はとりあえず置いておいて。
愛情やら何やらという麗しいところを抜きにしても、動物的な側面としてオスとメスが交尾をしなければ種の保存がなりませんから、男女間の恋愛関係とそれに伴うセックスは極めてノーマルなことであると思うのです。

しかし、世の中にいろいろな人間がるように、いろいろな性癖を持った人がいます。
それを性癖と呼んでいいのかどうか判断に迷いますが、同性愛というものがありますね。
砕けた言い方をすればホモとかレズとか、そういうやつです。

そういうのって気持ち悪いじゃん。男同士とか女同士とかありえなくね?
と、ある時期までは同性愛異端として蔑視していたのですが、高校二年のある秋の日に転機が訪れました。

エンドウさんのクラス舞台発表をやることになりまして、それはもう青春エネルギーをすべてここにぶつける!ようなテンションで取り組んでいました。
舞台発表といえば主に3年生のために用意されているといっても過言ではない晴れ舞台で、偶然にも展示をやるクラスが多かったという都合で僕らのクラス舞台発表の権利を手に入れることができました。
唯一紛れ込んだ2年生集団ですから、先輩たちに迫るどころか圧倒してやろうという意気込みは半端ではありません。
発表内容を決めるための会議は実に白熱していましたし、舞台練習をするようになってからは熱がさらに上昇しました。

開催を間近に控えた時期に突入してからはさらに拍車がかかり、毎日舞台を借用して練習に励みます。最終下校時刻ぎりぎりまで粘り、外が真っ暗になった頃に帰るという日々が続いたのを覚えています。
その日も熱のこもった練習を終え、精も根も尽きたようなクラスメートが各々で荷物をまとめて帰宅していきました。
エンドウさんも帰ろうと校門までは行ったのですが、ふと気になってかばんの中身を確認したら筆箱がないんですよ。
これは体育館に忘れてきたんだろうなと思い、探しに戻りました。

体育館は照明が付きっぱなしで、おいおい誰も消さないのかよと思ったのですが付ける手間が省けたしすぐに筆箱が見つかったので、どうでもいいことでした。
さて今度こそ帰りますかと踵を返したら、なんか舞台の暗幕がもさもさと動いているんですよ。
もう、すごいびっくりしましたね。皆が帰った後で誰もいるはずがない舞台の奥に何者かが潜んでいるのですから。
尻尾巻いて逃げ出したくなったのですが、僅差で好奇心が勝ってしまったので、エンドウさんは恐る恐る舞台へと近づいていきました。
そして・・・暗幕を開けると。

「あ」

そんな間抜けな言葉が良く似合う気まずさでした。
暗幕を開いた先では、クラスの女子二人があられもない格好で濃密に抱擁を交わしていたのです。
もしエンドウさんがイケメンヤリチンだったら、同級生とくんずほぐれつ魅惑の3Pに突入していたところですが、童貞真っ盛りだった少年にそんな蛮勇などあるはずありません。
もう何を言っていいのやらわからずに、なにやら謝罪のようなものをぼそぼそとこぼして、今度こそ逃げるようにその場を後にしました。

去りながらも、同性愛って本当にしかもこんな身近にもあったんだということが頭の中をぐるぐると支配していました。
その日以降、件のクラスメートとはお互い何も語らないままクラス替えを迎え関係が切れました。さすがに。

当時は同性愛なんて役割から外れた性関係で非生産的だから、お互いの気持ちがどうあろうと認められるものではないし認めないと思っていました。
しかし、実際に同性愛カップルを見てしまったせいか、特別なことではないような気がしてきたんですよ。

よくよく考えてみれば避妊方法が発達した現代、セックス子作りという本来の機能よりも愛情の確認だとか快楽の追求だとか、いわば二次的な側面を強めています。
それに、セックスのあり方自体が多様性を帯びていますから、挿入を伴わなくても性的接触を含むコミュニケーションをすべてセックスと呼んでもあながち間違いではないと思うんですよ。
そう考えると、同性愛というのは世間の風当たりこそあるものの、性的関係としてはそれはそれでありだろうと思うのです。
要は愛情があれば性別なんて関係ないじゃん。ということです。
まあ、さすがに二人の遺伝子を有した子供を作ることはできませんけどね。

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