誘惑

朝4時、目覚ましが鳴る




まだ外は真っ暗、室温は3℃



お布団から出たくない欲求に打ち勝ち、リビングダイニングへ一目散




いそいそとエアコンをつけ、ポットのお湯を入れ替えて再沸騰


タイマーで炊き上がった炊飯器を開け、蒸らし終わったご飯をしゃもじで切る



ポットのお湯が沸くのに合わせ、ドリップコーヒーを淹れる

やっと頭がお目覚めの時間




冷蔵庫を開け、今日のお弁当に入れる材料や、既に作っておいたおかずを取り出す


同時に、朝ごはんの準備




お弁当箱の分と、朝食分のお茶碗と

ご飯をよそうのが1度で済むから、効率的






出社時間は8時30分、乗るべき電車は6時40分過ぎ（会社までの通勤時間は1時間と30分ほど）

現在、4時20分過ぎ

どう見積もっても、余裕



おかずを並べ、ご飯やお味噌汁をよそい


テーブルを朝食が席巻したら


愛する彼が起きてきます





車で10分くらいの会社に勤務する彼の始業時間も、8時30分


私に合わせて起きることないのに


もう少しお寝坊さんできるのに


ちゃんと毎朝、それこそ大喧嘩しても起きてきてくれる


そんな彼が、私は大好きで


そんな彼に、私は夢中で






眠そうにしながらも、ご飯をほおばってくれる顔すら大好きで




浮気防止という名のフェラチオを、朝から頑張る




これは義務じゃなく、私がしたいだけ


いつも優しくしてくれて

何でも助けてくれて

いろんな事教えてくれて

感謝してもしきれないほどの想いを、表したいだけ



出勤までのわずかな時間


口で愛を伝えて、口で愛を受け取って


今日も頑張ろう、今日も頑張れる


そんな毎日を、ずっと過ごしてきたかっただけ





そして今、その幸せはなくなってしまったけど


別の幸せが、私を包み込む




この幸せがずっと続けばいいなと、願う毎日です