生い立ち～17歳（初バイト編）

表からの続きになりますね。


アルバイトも決めて、進学クラス（8組）に移動するために勉強するのも決めて


一気にやるべきことが増えた私。



まず、学校での過ごし方が変わりましたね。


休み時間に8組に行くのは変わらないんですが

必ず教科書とノートを持って、分からない授業の内容をＢ子ちゃんに質問したり

Ｋくんに教えてもらったり

とにかく勉強第一で過ごしました。


自分の4組でも、お昼休みとかにしっかり勉強して


クラスで浮いた存在になりつつありましたけど


「しっかり勉強して、絶対に8組にクラス移動するんだ！」

って気合い十分だったので、人の話なんか全く無視でしたね。



学校が終わって、Ｋくんと一緒に電車に乗って


駅から出て、同じ方向のバイト先まで一緒に歩いて（Ｋくんはバイクだったのに、私に気遣って
一緒に押しながら歩いてくれてました）


私が9時にバイトが終わると、Ｋくんは10時に終わるので
それまでお店で帳簿付けとか手伝って過ごして

10時を過ぎると、Ｋくんがお店まで迎えに来てくれる。


こんな毎日を過ごしてました。



お願いしたわけじゃないのに、女だから夜道は危ないって思ってくれたのでしょうね。

1日も欠かさず、私がバイトの日は迎えに来てくれました。

彼がバイトお休み、私がバイトの日は

一度家に帰ってから、終わる頃を見計らって来てくれて

それだけで嬉しい毎日でした。



少なくとも「お友達」って思ってくれている、

嫌われてない！って、勝手に解釈してました。




アルバイトを1ヶ月頑張って、初めてのお給料の日に

社長「Ｋくんから預かってるぞ。空き瓶置き場を見てきてみな」

と、言われるがまま見に行くと

可愛い自転車が置いてありました。


社長「Ｋくんが、バイト頑張ってるから渡してあげてくれって
昨日遅くに持ってきてくれたんだぞ。」



すごく嬉しかったですね。


それまでこんな高価なものを人から頂いたことがなかったので

嬉しくて嬉しくて。



でも、この時私って自転車に乗れなくて・・・



そもそも乗ったことなくて・・・



でも、乗りたいから練習しようって結論に辿り着くんですけど

自転車乗れないって、すぐにＫくんに発覚するんですよ。


それなのに、ひとつもバカにすることなく

Ｋくん「じゃあ、休みの日に練習するか」って、ただひとこと。





これで惚れない女がいたら、見てみたい！！


このとき、私の頭の中では

Ｋくん99％、1％自分の割合でしたね。



私なんかどうでもいいんですよ。


Ｋくんに微笑んでもらって、仲良くしてもらって

それだけで幸せでした。



意外に自転車は早く乗れるようになって

貰った翌週には、颯爽と漕いで駅まで通学してましたよ。


まあ、一緒になって教えてくれたＫくんが


何度も転びそうな私を支えて、代わりに転んでくれてましたけど・・・




怪我しても私のせいにしないし、乗れたことを自分のことのように喜んでくれるし

最高の王子様でしたね。




自転車で通うようになってからは、朝と帰りの両方

Ｋくんが家の近くまで迎えに来てくれるようになりました。


彼はスクーターで、私は自転車で


仲良く田舎道を、のんびり走って色んなお話をして


人生で一番楽しいって、毎日思ってました。



たまに自宅で蹴られたり叩かれたりしても


（明日になれば、Ｋくんが笑顔で迎えに来てくれる）
っていうのだけを励みに、暴力に耐えてました。




アルバイト始めて、3ヶ月くらい経ったときに

私が虐待されてるって、Ｋくんにバレちゃったんですよ。


私は言ったこともないですけど、雰囲気とかで感じ取ってたんでしょうね。

Ｋくん「家、行っていいか？」って聞かれて


私「ダメ！散らかってるから」

って抵抗したんですけど、彼は彼で私の親に憤ってたみたいで。



お互いバイトが終わって、一緒に私の家に向かって


「お前は隠れてろよ」って言われて、言われるがまま隠れてたんですけど



彼がチャイムを押して、父親が出てきて


何か5分くらい会話をした後に、彼が殴られてるのが見えて


私は怖くて怖くて、Ｋくんを助けに行けなくて



何度も殴られてるＫくんを見て、やっと足が動いて


近くにあった箒を持って、私が父親に殴りかかりましたね。



そのまま家の中に父親が逃げたので、とにかくＫくんを助けなきゃしか頭の中にない私は

とりあえず抱えあげて、おんぶして


今思えば、これが火事場の馬鹿力ってやつなんでしょうね。


重いとも思わず、Ｋくんを背負えましたから。




血だらけで、おでことかほっぺが割れちゃってて

申し訳ない気持ちでいっぱいなんですよ。


泣きじゃくるしかない私に、


Ｋくん「ガツンと言ってやったからな。二度と暴力振るわないでやってくださいって。
また暴力振るわれたら、いつでも言えよ。何度でも言ってやるから。」


って、笑いながら言ってくれたんですよ。



すごく顔とか腕とか腫れちゃって

病院行こう、警察行こうって私が言っても


Ｋくん「行かない」しか言わないんですよ。


もし、病院や警察に行ってたら

間違いなく、父親は捕まってたんでしょうね。

そしたら私は、「父親が前科持ち」になってたんですよね。



そんなところまで、Ｋくんは気遣ってくれてたって


Ｋくんが亡くなってから知るんですよ。



本当、バカな自分って嫌だなって

いつも思いますよ。


先のことが見えない、先のことがわからない。


どういう行動をしたら、どういう未来が待っているって

想像も出来ないんですから。



Ｋくん「今日は帰る。お前もおばあちゃん家に帰れ」
って言われて、傷だらけなのにおばあちゃん家まで送ってくれて

そのままブーンって、バイクで帰っていくＫくんを見てたら



とにかく父親が憎くて憎くて、


おばあちゃん家の包丁を持ち出して、刺し殺してやろうって殺意が芽生えたんですね。
手に包丁握って、エプロンでグルグル巻きにして固定して・・・



それを見ていたおばあちゃんが、必死に私を止めて

何とか刺し殺したりせず・・・な展開でした。



この日を境に、殴られたら殴り返す日々が始まりましたね。


今までは押し返すとか、逃げるっていう選択肢しかなかったんですけど


（クソ親父がＫくんに暴力振るった）っていうのが、私の中で許せなくて


酒屋の社長に貰った、護身棒（鉄の3段に伸縮するヤツ）で

いつも立ち向かってました。



クソ親父がＫくんを殴った次の日、Ｋくんは普通に迎えに来てくれて

案の定、顔とかパンパンに腫れたいたんですけど

何もなかったかのように「おはよう」って・・・



この一言で、朝から泣きました。


夜は気づきませんでしたけど、歯が1本無くなってるんですよ。


犬歯の1つ奥歯よりの歯、笑うと端っこに見える歯が無いのに気づいて


私「クソ親父が叩いたから、折れちゃったんだよね？」

って聞いても


Ｋくん「んなわけないじゃん。」

しか言わなくて・・・




怪我だけじゃなく、歯も折られたのに

何でこんなに優しいんだろう。

何で私なんかに優しくしてくれるんだろう。


譲れるなら、私の歯でよかったら譲りたい


って、ずっとずっと、心の中で思ってました。



学校に行くまで、私が悲しまないよう


面白かったテレビの話とか、学校のテストの話、アルバイトの先輩に聞いた面白い話なんかを

ずっとずっと、学校に着くまで聞かせてくれてました。



ただ、学校って暴力事件みたいなのに敏感で


登校してすぐに、Ｋくんが職員室に呼び出されたって

Ｂ子ちゃんが私のクラスまで教えに来てくれたんですよ。


私のせいなんですから、私が説明しなきゃと思って

職員室に行こうとしたら


Ｂ子ちゃん「理由は聞いてないけど、行ったらダメだよ。

絶対に来させないでくれって言われてるから。

何があったか聞かないけど、Ｋくんが言って間違ってることって一度も無いから

黙って待ってようよ」


と諭され、泣きながら待つことに。



授業は全然頭に入ってこないし、Ｋくんのことが気がかりだし

とにかく気が気じゃない状態でした。


Ｋくんは先生にも、私のクソ親父が暴力を振るったとは決して言わず

転びましたの一点張りで済ませたみたいです。


元々、先生たちの受けが良い生徒だったので、
それも幸いしたんでしょうね。


昨日、今日と自分は1つも痛い思いをしていないのに

全部助けてもらって、痛いのも引き受けてもらって

泣いてばかりの私でした。



Ｋくんが気になって気になって、放課後に8組に飛んでいったのですが

いつもと変わらないＫくんがそこには居て

Ｋくん「今日もバイトだろ？帰ろうぜ」

と、何気ない毎日を今日もなぞってくれました。





続きはまた明日ですね。




掲載元
http://www.alliphonewallpapers.com/images/wallpapers/5hafkhvrc.jpg