- 名前
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- もう歳も歳なので、枯れ専の自覚があるとか、ログを読んでみて感性が合いそうだなと思った...
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「ウオーキングデッド」("Walking Dead")
2015年09月25日 21:22
ほぼ三日ぶっとうしで最初から、「シリーズ5」まで見てしまいました。(どれだけ暇)
これまでとびとびで見たことはあって、それはそれでもちろん面白かったのですが、やっぱりシリーズもののTVドラマは、話の展開をきちんと追わないとほんとの面白さは分からないなーと実感しました(遅)
で感想は、バツグンに面白い、ということになるわけですが、その面白さは、ゾンビの描き方とか、ゾンビとの格闘よりも、(個人的には)人間と社会、社会そのものを考えさせてくれる割合が大きいものでした。
背景にゾンビ発生後の世界をもってきて、それがどう人間とその社会に影響を与えるかを描いているのですが、それは、登場人物たちの人間関係へ投影されるわけです。ここのところは、やっぱりアメリカのエンタメ界の実力発揮で、人物の造形力には脱帽です。シチュエーションの設定、セリフなどよく考え抜かれていて、飽きさせない。
もちろん一回一回のスリリングな見せ場は用意されているし、ストーリー展開の巧みさも言うまでもなく、かならず次回を見たいという気にさせます。
劇中劇の真犯人あてもあり、そこにはどんでん返しも用意されています。
ゾンビはCGですが、これも結構よく出来ていて、実写部分とのズレや違和感はほとんどないと言っていいレベルです。壊れ方は、やや早過ぎるとは思いますが(笑)
それに、総監督が変わっているらしく、シリーズ4とか5は、ゾンビの群像や廃墟の映像美も体験できます。絵になるなー、と感じたシーンが幾つもありました。
上で書きましたが、私的には、アポカリプス発生後を描いたこの作品は、もし社会が崩壊したら、人間はどうなるか、あるいは、社会はどうやって形成されたんだろうという問いにヒントを与えてくれるものでした。後者の問いは、近代社会のあり方を理論付けようとした思想家たち、たとえばホッブスやルソーやロックが取り組んだものですが、ホッブスが人間性悪説から出発するのに対し、ルソーやロックは性善説から出発して、社会の成立を説明しようとしました。
「Walking Dead」は、ホッブスの理屈、つまり、人間は自分の欲望や利益を最優先するものであり、それをコントロールする力(政治権力)がなければ、「互いが狼になる世界が生まれる」ことを基本にしているように見えます。
この作品では、ゾンビ発生後、生き残った人間たちは生き残るために小さなグループを形成していくわけですが、そのグループが実は、ゾンビよりも恐ろしい存在になってしまい、他のグループを襲い、略奪をおこない、そのために殺戮を繰り返すことになります。とすると、ゾンビの存在が背景にあるわけですが、互いの敵対関係によって人間が絶滅するという最悪の結果になりかねない。そこで、お互いに平和共存しようとするこころみが繰り返し出てくるのですが、これが簡単ではない。なにせ、攻撃をうけたら、報復すべきだという感情は避けられないし、異なったグループをどう信頼していくかは大きなリスクを抱えながらの試行錯誤になるからです。
主人公リックのグループは、もちろん性善説に立つグループとして描かれるのですが、リック自身やメンバーは、他のグループとの熾烈なたたかいや、ゾンビとの日常的なたたかいで、敵は殺せ、さらには、敵になりそうなやつは殺せという信条に少しづつ侵されていくプロセスが描かれています。が、メンバーからその都度、性善説的なブレーキがかけられるのです。性善説と性悪説の永遠のたたかいです。
というわけで、見る人によってはいろんなヒントを与えてくれるとびきりのエンタメとしておすすめです。
シリーズはもう6が出来ているらしいので、見るのが今から楽しみです。
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