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10th Shinjyuku Part 4

2015年02月06日 23:17

10th   Shinjyuku Part 4

チャンスはなかなか訪れなかった。
彼女の方もこちらも妙に忙しかったのだ。

こちらの手が空くと、
彼女の方は書類に沈んでいるし
彼女がそっと訴えるように見つめるときは
こちらが切羽つまっていたりして
思いにまかせなかった。

だが色々なうわさは聞こえてくる。
あの上司が再び誘いをかけたものの
「すぐイっちゃうような下手な人とはいや。」と
はっきりと断られたこと。
若いのが2・3人食事に誘いだしたものの
食い逃げ」されたこと。
同僚の女子社員に例のあけすけさで過去の
男関係を聞かれるままに話してしまったこと。
そんなに「すきもの」なのに
なぜ「落ちない」かが
会社七不思議のひとつになっていたりした。

それだけわいわいしていたのに
こちらとの狂ったような情事のことは
いっさい口の端に乗らなかった。
どうもそのバランス感覚がわからないのだが
話すことと話さないことの間に
彼女なりに明確な一線があるようだった。
どうやら進行中の情事については
しゃべらないようだ。
だからうわさにはなっていなくても
こちらと同様に
きっと誰かを食べているのだろう。
あの強い性欲なのだから
当然といえば当然なのだが
結構、妬ける。
今度あったら全部聞き出してやろう、と
ひどく身勝手で矛盾したことを考えながら
先のみえない仕事の山を
それでも次々と片付けていった。

ようやく機会が訪れたのは
公園での恥戯から三週間あとのことだった。
花の金曜日。
双方の退社時間が一致したのだ。
以心伝心
少し離れたところにおいた車に
当然のようにするりと乗り込んできた。
かすかに舞い上がる
名もしらない甘いパルファンに
はやくも情事の期待が高まる。
ゆっくりと車を夕なずむ街に滑り出す。
「おなか空いてます?」
「もうぺこぺこ。ずっと食べてなかったから。」
「うふっ。そうじゃなくて。」
レインボーブリッジを望む浜松町ホテルにむかう。
最上階にあまり知られていない
ステーキハウスがあるからだ。
ここはかつて別の女性との情事
アペリティフに使った場所。
かがんでテーブルの下で開かれた
足の奥のTバックのシミを見た場所だ。

だが、今回は信じられないことに
双方とも「とてもいい子」で食事を済ませた。
仕事の話、失敗談だらけのこちらの昔話、映画や音楽の話…
ピンクに染めらた会話は一切なかったけれど、ひどく楽しい
女の方はあまり話さないのに、少しも会話がとぎれないのだ。
いわゆる「聞き上手」なのだろう。
二時間ほどかけて、食事を済ませてエレベーターに乗る。
ふたりだけだった。
手を絡めてくる。
身体をすり寄せてくる。
唇をもとめてくる。
舌を絡めて唾液を交わした時には
もう双方の手は
お互いの性器を服ごしにまさぐりだしていた。
ちんと音がして中途階に止まる。
さすがに手は引っ込めたものの
しめしあわせたように
抱き合うことはやめなかった。
乗ってきたカップル
バツが悪そうに視線をそらす。
それをいたずらっぽい目で追うさまが可愛かった。
地上階。
外に出ると船を模した板張りのデッキが広がり
ライトアップされたレインボーブリッジが広がる。
海風が心地よい。
当然のように抱き合うと、
今度はスカートの下とズボンの下にお互いの手が這う。
今日はパンストはつけていなかったし
小さな下着だったから
指が簡単に性器に触れる。

女は濡れていた。
男は佇立していた。

さらに指を送り込んで、クリトリスつまみ出し
かたく膨らむのを確かめた後で奥にぶすりと刺した。
どくんと噴出す愛液
立ちのぼる甘いパルファン。
押し付けられる唇。
のぞく豊かな胸と乳首
そして、はあというため息。
五感のすべてに淫靡な刺激をたたきつけてくる。
やがて「あっ」といいながら身体をそらす。
この間のお濠端とおなじ反応。
アクメへの序曲だ。
お互いが煮詰まってしまうと
ほかのカップルの前でとんでもないショウを
見せつけることになりそうなので
残念ながら、この場を立ち去ることにする。
「ねえ、狂いたいの。今日は。ベッドで。」
「きどったホテルはいや。すごい下品なとこがいい。」
あまり、そういうリクエストはないから
思い当たるところがない。
それでも、行為の後での長距離走行はつらいから
送って行きやすい錦糸町に向かう。
なれない道をたどりながらだから
前して見ていなかったが
ふと助手席を見て驚いた。
スカートを捲り上げて
パンティを下ろして
性器をむき出しにして
自分の指で慰めているのだ。
「やっと気づいてくれた?」
「見てください。これ。」
「むちゃくちゃ欲しくてガマンできない。」
そういいながらすごい流し目を送る。
別に新たにふりかけた様子もないのに
パルファンの香りがひどく強くなり、
すさまじい淫風となって
ごうと吹きつけてくる。
しばらく鳴りを潜めていたペニス
急に息を吹き返してくる。
と思った瞬間にはもう、つまみ出されていた。
「ほしい。はやく。」と言いながら
しごく。
しごく。
しごく。
そして、ついにパクッとくわえてしまった。
たっぷりの唾液
ぬるりと暖かくつつまれる肉棒
顔の上下につれて沸きあがる快感
知っている道ならしゃぶられても
まあ大丈夫だろうが
これでは運転が危なくてしようがない。
「待ってくれ、もう少し。」
という声はもはや哀願に近かった。
あの別の女の時と同じように
車を路肩によせて…とも思ったが
「ベッドで」というリクエストがある。
自分の指でかき回すだけで我慢するように頼んで
何とか運転に集中するのだが
横で展開される淫靡光景
気になってしようがない。
挑発するように
むき出しにした腰を突き出し
シートバックにのけぞりながらあえいでいる。
指づかいの速度が速まり
ぐちゅぐちゅと音が立ち上がる。
ひどく落ち着かない気分のまま
なんとかうろ覚えの記憶をたどった。
「この辺に確か」と
思う場所にそのラブホテルはあった。
のぞみどおり下品そのもののたたずまいだ。
着く直前に達したらしくて
助手席からは息はあるけれど声はない。
かき回し、垂れ流し、没頭しきっているようだ。
いかにもの駐車場に車を停め
助手席からひきずりだす。
もつれるように玄関をくぐる。

陽光の入らないかび臭い部屋。
やすもののソファと
お粗末なオーディオシステム
当然のようにテレビではAVが流れる。
女は、と見るときょろきょろと室内を見回している。
「こういうところ来たの三度目かな。」
たった三度?そんなわけないだろうが、と思っていると
「いつも車の中とか、公園とかが多いんだもん。」
「それか、ちゃんとしたホテル。」
と言う。
「でも普通のホテルはつまんない。」
「さかりがついたときはこういうとこがいいの。」
いつだってさかりがついてるだろうが
と思って尋問を開始する。

この間のお濠端の時と同じだなと思った。
淫靡な問いとあけすけな答え。
お互いに服を脱がしながら進行する桃色の会話は
暗黙の了解に基づく興奮の促進剤だ。
「あれから何人とした?」
「誰ともしてません。オナニーだけ。」
ブラウスの上から乳房わしづかみにする。
「うそだろうが。何人。」
「くっ。ふ・た・り。」
「誰とだれ?」
「一人はあなたが知ってる人。もう一人は知らない人。」
「誰だよ。」
本当は誰でもよかったのだが
嫉妬擬態
続けるうちに少しの真実になる。
ブラウスをとり、ブラをずらして
露出した乳房に軽く噛み付く。
乳首が固くとがっているので
じゅるっと音を立てて吸う。
それだけでひどく感じているのは
会話を楽しんでいるからでもある。
「い、いい。言います。会社のKさん。」
独身でなかなかいい男。
なによりもこちらよりはるかに若い。
この女となら結構いいカップルになりそうだが、
どっちも不倫をしてばかりで危ないかもしれない。
背中にまわり
むきだしになった胸を揉みながら手を腹部に下ろす。
ミニスカートから突き出し太もも
淫らに開いてゆく。
「どうだった。」
「よかった。車の中でしたの。」
「私より早くイっちゃうけど、すぐまた固く…」
「何度した?」
「四回ぐらい入れられました。私は一回しかイってない。」 
こちらの手はスカートを捲り上げて、
すでに濡れそぼっているパンティのうえから
ゆっくりと撫で始めている。
じわりじわりと濡れ方が激しくなり
染み出しているようだ。
背中にまわっての形のまま身体を回して
ベッドボードの鏡に痴態を映す。
やはりシミができている。
それを見てさらに欲情したらしくシミが広がる。
「こうされたんだ。車の中で。」
「そうです。そうです。」
パンティの横から指を滑り込ませると、
腰をずらしてむかいいれてしまう。
「自分から突っ込まれるようにしたんだ。」
「しません。そんなこと。」
そういいながら
動きをとめてじらすこちらの指が不満らしく
自分で勝手にグラインドを始める。
「いっぱい感じたんだろう。」
「すぐ入れたがるの。あそこに。」
あそこ?約束がちがうぞ。」
指のくねらせの速度を増す。
「ああ、おまんこよおお。」
「彼にも言ったんだろ?お・ま・ん・こ って。」
「言ってない。言わそうとしたけど言わなかった。」
「言うのは、あなただけ。おまんこしたいいい。」
わめくようにそう言うと
身体をおもいっきりひねって口をつきだす。
まさにがぶりと唇を重ね唾液を交し合い飲みあう。
「ねえ、舐めて。おまんこなめて。おまんこ。」

再度、身体を移して前に回ると
放恣に足を投げ出して広げる。
今日も白い小さなパンティだが
前の部分は大きく濡れて色が変わっている。
そのシミに顔を押し付けて、布ごしに
吸い
舐め
しゃぶり
かみつく。
「うわあ、おまんこいいよおお。」
そう叫びながら、足をもそもそ動かして
濡れた下着を脱ぎ去ってしまった。
クロッチにしみついた愛液がなまなましく光っている。
水銀灯にさらされたとはいえお壕端では
細部までは見えなかったが
はじめて明るいところで見る女の秘所は
淡いピンクヴァギナがひくひくとうごめいて、
美しくいやらしかった。
今度は布ごしではなく、じかに舌で舐めあげる。
こんなことを繰り返しながら、なお質問が続く。
「で、オナニーは何度した?」
「そんなにしてない。」
「また、うそつく。やめるぞ、舐めるの。」
そう言うと、舐めながらの舌の動きをぴたりと止める。
「いやっ。やめないで。まんこやめないでええ。」
「ほとんど毎日してた?いま、して。見てるから。」
「いや、いやそんな…」といいながら
いそいそと足を広げる。
スカートを腰にまつわりつかしただけの姿で
両手を使い出した。
左手乳房をもみあげる。
右手の指で性器をかき回す。
下地が十分なので早くも感じ出してきたのか、
目が閉じられ指の動きが速くなり
腰が前後左右にくねりだす。
手全体が噴出す愛液で濡れだすと
急に目を開いて、こちらが見ていることを確認する。
「見てください。みて。おまんこじっと見て。」
激しく感じたらしく
性器を天井に向かって突き出し
ブリッジのような形をつくっていたが
どっと崩れ落ちると
あおむけのまましばらく動かない。
だが少しすると今度はメス犬の形になって
後ろに突き出しながら手を腹の下にくぐらせ
指をきゅっとまげて突き刺しかきまわす。
こちらの視線にざくろのようにはじけた性器
収縮を繰り返すアヌスを全部さらけ出し
見ていることを確かめるように
下腹部越しにこちらを見る。

もちろん舐めた。
べろべろと舐めあげた。
舐めながらこちらも、脱ぎ捨てていく。
アヌスのまわりではこちらの唾液
性器の周りでは女の愛液
てらてらと照明を反射して光りだしている。
「みて。見て。こんな恥ずかしい格好。」
「見られると垂れちゃう。」
わざといやらしい音をたてて舐めあげる。
わざと大きい音を立ててアヌスを吸う。
「ああ」が「うわあ」に変わり
「うわあ」が「ひい」に変わり
「ひい」は「ぎゃあ」に変わった。
高まりは急速に二人に訪れた。
もう見たり舐めたりだけでは
我慢できなくなってきた。
それだけ激しい快感の予感だったのだ。
いつになく、二回目に臨めることを期待しつつ
焦り気味にコンドームをつけたペニス
ずるりと送り込む。
淫水に暖かく包み込まれたと思ったせつなに
性器のかべが妖しく動き出し
繊毛虫類のように
奥へ奥へと引きずり込む蠕動が加わる。
少しぞりっとした感触。

抵抗している反発ではなく
誘い込もうとしている反発。
「うわあ、まんこしてるよおお。おまんこおおお。」
かなりの力で
ぎゅっと締めつけたかと思うと
腰がさらに後方につきだされて
体中が痙攣した。
「なに、これ?なに、これ?」
「すごい。しまる。」
そこまで言うのがやっとだった。
「うわあ。」
おまんこおおお。」
男はすさまじい射精の時。
女は狂喜の愛液噴出の時。
シーツをべとべとに濡らしながら、同時に昇天する。
しばらく、彫像のように動かない。

明かりを灯したままの行為だから
その二人の姿がベッドボードの鏡に
くっきりと映りこんでいる。

(続く)

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