- 名前
- ベソ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 64歳
- 住所
- 海外
- 自己紹介
- 我ハ墓守也。
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粋
2014年04月09日 09:38
いつも通る道すがらに、その桜はある。
個人宅から溢れるように枝を伸ばす、立派な染井吉野。
角に建つ家なので、まるでその桜の為に家を建てたような風情。
今年もまた、見事に花を咲かせ、道ゆく人々を楽しませてくれた。
私は、もう何年も花見に行く目的を持って花見をしていない。
それでも、毎年この季節には桜を楽しみ、味わい、感傷を覚えるのはこの一本の桜に負うところが大きい。
そしてこの家の主は、相当の粋人らしく、毎年この時期には庭の桜の木をライトアップしてくれる。
よって、夜中に仕事に疲れてこの道を通る時にも、この桜は変わらず私を迎えてくれ、私はしばしの対話を愉しみ、心安らかに家路に着くことが出来る。
考えてみれば、毎年相当の手間暇をかけて、この桜の手入れをなさっているに違いない。
ライトアップの電気代も当然負担してくださっている。
更に、道路に花弁が散った後には、掃除までなさっているようだ。
道を行く、名も知らねば顔も分からぬ他人の為に、こうした行為を累々と重ねることは正に粋やな、と思わされた。
この家の粋人の主は、死んだら遺灰をこの桜の根元に埋めてくれ、と遺言したりしてはるんやなかろうか、と想像した。
私はいつか、通りがけにその主を見かけたら、毎年美しい桜を見せていただき、本当にありがとうございます、と礼を言おうと思っている。
皆様の周りには、そんな物語のある桜が咲いていますか?
このウラログへのコメント
> あまいさん
風流よね。粋人、雅人とはこんな人のことをいうんやろうな、と思うよ。
わしもそんな風に、さりげなく人を喜ばせられるようになりたい、と思う。
道は遠いのお。
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