精瞬

昔と違って今はＤＶＤが主流になってるからそんなことないと思うが、俺が高校生の時はＶＨＳビデオが主流だった。友達同士でアダルトビデオの回し見すると必ずと言っていいほど巻き戻してない状態で俺の手元にやってくる。

不精な奴らのことだからしょうがないって言っちゃあしょうがないが、そんな状態のビデオだと、ほら…ねぇ？"友達がどの場面で抜いたか"がすぐにわかってしまうやん？正常位で。バックでフェラで。ほんと人それぞれだ。

そんな俺の抜く場面はドコだったというと「キス」の場面。今は好みが変わっているけど昔は「キス」だった。そう。当時の俺はキスに異常な興奮を覚えていたわけ。ナンパでさ、年上のおねぇさんとＨする時にさ、おねぇさん方は大人のキッスってやつをさ、教えてあげる…なんて感じでさ、レロレロやられちゃってる時の甘美は風が吹けば勃起しちゃう年頃にはかなり刺激的だったわけ。

んで、オナニーのやり方なんけど。

まずはイクのを我慢しながらシコシコしまくり、一通り見終える。そして素早く最初のキス場面に巻き戻し、爆発させる…というなかなかメンドクセー抜き方だ。それでもやり遂げた時はかなりスッキリだ。めちゃくちゃ艶々したホッペタのまま次の友達に巻き戻さない状態のアダルトビデオを回す。するとどうだろう。翌日に必ず言われるのが、



「お前、ソウロウ？」



俺もチェックしたように友達も当然、俺の抜きどころをチェックするってわけ。それが始まって２分の場面なのだから…「こいつはそんなに我慢できなかったのか？」と、思うだろうし、別の意味で心配したに違いない。

慌てて俺流オナニー術を説明したが、もはや友達の耳には届くはずもなく。いつのまにか”早打ちマック”というクソ有難くもなんとない称号を頂いたのは言うまでもないだろう。しかも十数年経った今も言われ続けているかんね。…もう勘弁してほしい…友よ。

ただ、そんな称号を頂いても「巻き戻す」、という行為を頑なに行わなかった青春時代の俺は男の中の男だと思う。ああ精瞬。