- 名前
- スイ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 40歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 恋愛感情とかわかりません。 なので友人なら友人。セフレならセフレ、そういった区別して...
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犬の話
2010年05月27日 06:18
私は小学生の頃、犬を飼っておりました。
マルチーズと呼ばれる犬種でふわふわもさもさした感じの白い毛が特徴の小型犬です。
いまではそれほどでもありませんが、当時の私は地味に人見知りをする性格で、同年代の友達と遊ぶことがあまりなかったのです。そんなときに我が家にやってきたのがこの小さな子犬でした。動物を飼ったことがなかった私は大いに喜び、学校から帰ってくるなり犬と遊ぶ生活が始まったのです。
それから二年ほど過ぎた頃でしょうか。
家族の様に育った犬はまだまだ元気でした。
自力で引き戸を開けたりもできるほどに賢く、西洋風のドアさえも取っ手まで飛び上がって開けるほどに芸達者でした。やんちゃです。行動力抜群です。しかしそんな彼も階段は登れても降りられないという弱点がありました。なので私を含めた家族は家を留守にする際に、犬が勝手に外に出ないよう、犬を二階に上げておくというのが暗黙の了解となっていたのです。
ある日のことでした。
私がいつもと同じように学校に出かけようとすると、いつものごとく犬がお見送りをしに玄関までやってきました。頭を撫でて満足すると、私はそのまま学校へと出かけました。
昼を過ぎ、夕方になり、下校の時間となりました。
足早に帰宅をした私を待っていた人はいませんでした。
その日、両親は出かけていて、祖父と祖母も親戚の家に出かけていたのです。
そして、いつもならあるはずの犬の姿はありませんでした。
玄関を開ければ二階から犬の鳴き声が聞こえてきたのが、今日は聞こえない。居間、仏間、台所、自分の部屋、両親の部屋。どこを見て回っても犬の姿は影も形もないのです。
遊び相手がおらず私は暇を持て余すことになりました。
しばらくして電話がかかってきました。電話の主は近所の人でした。慌てている様子で何かを喋っているのですが私には何を言っているのかわかりませんでした。
丁度そのときに母親が家に帰ってきました。
母に電話を変わると、母は顔色を変えて、私を連れて再度出かけました。近所の家でした。そこで見たのは私の飼っていた犬が力なく倒れている姿でした。
最寄りの動物病院に連れて行ったものの、すでに亡くなっていました。
母は自分が二階へ連れていくのを忘れたからと言ってましたが、私が出かける前に二階に連れてかなかったからだと思い、自分が死なせたと自分を恨みました。悲しくて何度となく泣いたのを覚えています。遺骸は私の家の墓の隣に毛布に包んで埋葬しました。ここならいつでも会いに来れるという母の提案でした。
それから一ヵ月ほど過ぎて、私が仏間で封神演技の絵を真似して描いていた時のことです。
この時のことは印象的だったのでよく覚えています。
私が座っていると膝あたりに犬の毛皮の感触があったのです。暖かく、柔らかい、懐かしい感触でした。
はっ、となって私は机の下を見ます。そこには何もありません。そのすぐあとに二階からバタバタとスリッパの音を鳴らして母が降りてきました。昼寝をしていたはずなのに何かあったのだろうか。母は私の元に来ると、犬の夢を見たというのです。飼っていた犬がコスモス畑を元気に走り回っている夢を見たのだと。
私は母と一緒に墓参りに出かけました。
そこには綺麗に咲いたコスモスがいくつもあったのです。
不思議と、コスモスが咲いていたのは私たちの墓だけでした。
コスモスは今も時期になると花を咲かせています。
このウラログへのコメント
いいですね…20年間一緒にいた愛猫とせめて夢の中でも今一度あいたいと願っても出てきた試しがありません
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