- 名前
- スイ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 40歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 恋愛感情とかわかりません。 なので友人なら友人。セフレならセフレ、そういった区別して...
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猫の住む家
2010年04月14日 04:32
時々、並び建つ住宅の中に、廃屋にしか見えない家を見かけるときがある。皆さんもそういった家を見たことがあるのではないだろうか。
庭は草木が芽吹き、手入れなどされている様子は微塵も感じられない。
窓だって土埃の汚れが目立って、玄関へと続く道さえ草木に埋もれて見えやしない。
壊れた自転車が草に埋もれている。
そんな家を見たことはないだろうか。
私は小学生のころに住んでいた町で見たことがある。
丁度、学校へと向かう通学路の途中にその家はあった。
子供だから、と言えるかもしれない。
好奇心旺盛だった私はその家に興味があった。
誰か住んでいるのだろうか。住んでいないなら殺人事件とかあったのだろうか。
想像が想像を生み、その家は私にとっての秘密の場所となっていた。
でも近づきたくはなかった。
見るからに幽霊とか出そうで怖かったのだ。
ただ遠目から見て、想像を楽しむ、そんな日々が続いていたある日のこと。
そうだな。雲一つない快晴で、夏のような暑さだったのは覚えてる。
これから話すのはそんな日の出来事だ。
私の住んでいた家の近所には野良猫が多かった。
子供にとっては格好の遊び相手で、私にとっても同様だった。
猫たちは徒党を組んでいるようで、橋を渡った先にある、人の手があまり入っていない広場によく集まっていた。
そんな猫たちの中に一匹、頭の先から尻尾の先まで真っ白な、とても綺麗な猫がいた。
誰かに飼われているのではないかと皆は言っていたが、私は白猫が飼われていないことを知っている。なぜなら白猫が例の廃屋に入っていくのを見たことがあったからだ。
休みの日に猫を一日中追いかけたことがあった。
それで分かったのは白猫が廃屋を住み家にしているということと、食べ物は魚市(雑貨屋)の店主からもらっていることだ。あと思っていたよりも学校の人気者だったりもした。
しかし白猫の住み家を知っていたのは私だけだったようで、そのことに優越感を覚えた。
皆よりもすごいと感じていたのだ。友達に打ち明けたら本当かよと絶賛されたことも原因かもしれない。
だから、今以上に白猫のことが知りたくなって……例の廃屋の中にまで入ってしまったんだ。
学校帰り、日が沈んで夕陽に変わる少し前。私は廃屋の中に入った。
ドアには鍵がかかっていなかった。
木製のドア独特の軋む音が耳に残る。嫌な音だった。
玄関の脇に置かれた傘立ては倒れていて靴が散乱していた。
蜘蛛の巣もちらほらとあった。誰も足を踏み入れていなかったのか、廊下を歩くと自分の足跡が残った。
和室だろうか。畳の部屋があった。テーブルの上に茶飲が置いてある。中身はなくて埃を被っていた。台所もあった。茶碗やお皿が散乱していた。割れてるものもあった。戸棚の中に並べられていた食器も埃を被っていた。どこもかしこも埃を被っていて自分の足跡だけが真新しく痕跡を残していた。
二階へ上がってみる。
そこも埃だらけで色々な物が散乱していた。
一階とさほど変わっている様子はなかった。
ふと、一階から タタタッ と何かが走っているような音が聞こえた。
白猫かもしれない。私は一階に下りてみた。
部屋を見回ってみる。けれど、さっきと何も変わっていなかった。
日が暮れ始めたので、私は廃屋から外に出た。
特に何もなく肩すかしをくらった気分だった。
最後に二階の窓を見上げる。
そこに白猫がいた。窓からこちらをじぃっと見つめているように感じる。
興味がなくなったのかどうなのか。ふいっと身をひるがえすと、白猫は窓の向こうに姿を消した。
帰り道。私はふと違和感を覚えた。そこで気付いたんだ。
そういえば白猫が住んでいるはずなのに。
――家の中の足跡は私のしかついてなかったな、と。
このウラログへのコメント
相かわらず怖い話ですねー PCは直りましたかー?
■さやさん
なおったー。
けどこっち全然更新してないw
■はるかさん
猫は可愛い!!
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