- 名前
- tarashi
- 性別
- ♂
- 年齢
- 56歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 58歳ですが、仕事も体力も絶頂期にあります。映画、料理の食べ歩きが趣味です。ウラデジ...
JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。
ヴェルクマイスター・ハーモニー
2010年02月08日 02:52
渋谷シアターイメージフォーラム(最近、ここばっかり)でタル・ベーラ監督の「ヴェルクマイスター・ハーモニー」を見てきました。
2000年の映画で、すでにDVDも出ているのですが、このDVDは例によって廃番で、オークションやアマゾンで1万円もします。
そんなだったら、スクリーンで観てしまえっていうことで日曜の夜に行ってきました。
20人くらいは入っています。すごい!
145分の映画なのに、カットが37しかないそうです。たしかに、「倫敦から来た男」もそうでしたが、この映画ものっけから長回しです。
飲み屋で地元の男たちを太陽系に見立てて太陽の周りを惑星が回るところを主人公のヤーノシュが男たちを動かして実現させるのですが、延々と長回しが続きます。
このヤーノシュは郵便配達(食事や新聞も配達しているようです)で、自分の部屋のベッドの上の壁には天体図をかたどった布がかかっていることから、かなり宇宙とか天体に興味を持っているようです。
彼は靴職人のラノーシュ夫妻の家に部屋を借りていて、仕事の帰りにはエステルという年老いた音楽研究家の面倒をみることになっているようです。
このエステルさんは、女房とうまくいかず、やっていることといったら、旧式のテープレコーダーを回して「ヴェルクマイスター音律への批判を口述録音しているだけです。
そんなとき、街の広場に大きな大きなトレーラーがやってきます(この場面も長回しで、居合わせたヤノーシュの背丈から、トレーラーの大きさを知ることができるのです)。それはサーカスの1団で、トレーラーの中にはクジラの模型がはいっていて、さらにゲストにスター「プリンス」も・・・。
翌日、徹夜のヤノーシュをエステル夫人が訪れ、ヤノーシュに向かって、エステルを無理にでも動かして、風紀を乱す勢力を浄化するように命じるのです。
ヤノーシュが広場に行くと、誰もいなくて、クジラの見世物に入ります。そして、ヤノーシュはクジラに魅せられてしまうのです。トレーラーを出ると、先まで誰もいなかった広場に男たちが集まってきています。
広場に来るたびに男たちの数は増え、彼らは火を焚いて動こうとしません。
一方、エステルは夫人に脅されて、夫人がつくったリストに従って、風紀委員をつくろうとしますが・・・。
エステル夫人は警察署長どダンスを踊り、所長の家ではヤノーシュが寝付かせようとしても、子どもたちは拒否してベッドの上で踊り、歌っています。
そして、広場に集まった男たちはいよいよ・・・・。
この映画では、しいたげられた人々が暴力に染まってしまう様が滑稽に描かれています。
救いはないかのようにも思えます。
ただ、暴徒でさえも、浴槽に立ち尽くす痩せた老人を見て自らの愚行に気付くのです。
また、精神的に傷ついたヤノーシュの病室に、あんなに動くのを嫌がっていたエステルが見舞いに来ているのです。
僕たちはここに、わずかな希望を見出すべきなのかもしれません。
本当の映画を見た後の静かな興奮につつまれています。
このウラログへのコメント
コメントを書く