- 名前
- ベソ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 64歳
- 住所
- 海外
- 自己紹介
- 我ハ墓守也。
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不倫旅行 ~33時間~
2009年04月07日 08:50
高速で運転する彼女の横顔をまじまじと眺める私。春らしい陽気。日差しは温かく、沿線の桜はちらほら咲いています。その他の花もやはり春を迎えその存在を主張するように咲き誇っていました。
私の視線に気付いた彼女が、抗議するように言います。
「そんなに見ないで」
私にあんなに会いたがっていたのに。
彼女、ツンデレなんです。
照れもあるのか、特に人前でいちゃいちゃしたりするのは嫌、と私ははっきり言われました。元々人目を忍ぶ我々の間柄ですから、私に異論はありません。
車中で色んな話をしました。前回は6時間ほどしか一緒に居なかったので、週末彼女を独占できる、という状況がこの上なく贅沢に思えます。話題は、お互いの子供時代の話が主。お互いの知らない部分を埋めようとするかのように話をしました。
休憩の後に運転を交代して本日の経由地の地方都市へ到着。彼女はここで食べたいものがある、ということで下調べをして来てくれました。テレビである女優が土地の名物の美味しいもの、ということで紹介していたものを食べたくなった、という経緯です。
繁華街の駐車場に車を停め、街の中心部の歩行者専用道路を歩いてその店を探します。地図、GPSを駆使してようやく見つけました。15分待ちと言われ、おとなしく待つ我々。
やがて席に通され、彼女はその名物を、私はお得に思えたランチメニューをオーダー。周りは家族連ればかりですが、我々の隣には大学生位の若いカップルが食事していました。
じきに料理が運ばれて来て、小皿に取り合っていただきました。食べたかったものを食べられ、ご満悦の彼女。その笑顔に報われた気になる私。ここは地元では有名な店で、名声に違わず料理は一流でした。
この後、夜に飲む用にワインを買って二人で車に戻りました。駐車場は立体です。車を停めたのはその中でも往来がなく暗がりの部分、誰の視線もありません。車に乗って、私は彼女にキスしようとしました。しかし抵抗する彼女。
「誰も見てないって」
「いや」
拒否された気がした私が憮然とした表情をしていたらしく、彼女は体を伸ばして私に一度だけ、軽くキスしてくれました。
「また後でね」
車はその後、更に一時間強の運転で午後早い時間に今日の宿泊地に到着。山中の静かなリゾート地です。着いたら散歩がしたい、という彼女のリクエストでしたが、私は彼女を求める気持ちを抑え切れず、夜まで待って・・・という彼女を強引に押し倒して唇を奪いました。最初抵抗していた彼女はやがて応じてくれ、私達はまた、ひとつになりました。
「ねぇ、わたしの中、気持ちいい?」
神妙な顔で訊いてくる彼女。そう、彼女はつい数週間前に子宮摘出という大手術を受けたばかりなのです。その結果、自分の女の部分が損なわれたのではないか、という恐れを抱く彼女。私は彼女の中でゆっくり動きながら、耳元で囁きました。
「うん、気持ちいいよ。すごく潤ってる。前とぜんぜん変わらないよ」
「良かった・・・」
彼女は私の返答に心から安堵したらしい返答。前、といっても私が彼女と情を交えたのは前回会った時の一度切りです。しかし私には臓器摘出により彼女の何かが変わっている、ということは分かりませんでした。自分が女である証を失うことをそれ程までに恐れる彼女。私は彼女の潤いの中で動き続け、彼女が何度か達した後に射精しました。
私のせいで散歩の時間がほんのちょっとしかなくなり彼女は怒りました。今にも雨が降り出しそうな中、遠くに見える桜に向い二人で歩きます。
畦道に芽を出した土筆に目を留め、それを愛でる彼女。
「もう春なのね・・・」
しみじみ呟く彼女の胸中にあるのは、辛い入院生活を乗り切ったことか、これからのことか。桜は五部咲き位でしたが、十分に美しく、そろそろ雨が降り始めそうな曇り空の下、私達はその姿を愛で、微かな匂いを楽しみました。
その後、早春の風景の中、しばらく逍遥してからぱらぱらと雨が落ち始めたので部屋に戻りました。
宿で早めの夕食を摂った後に近くで開催される観光客向けの民俗芸能公演を観に行きました。大変な歴史に裏打ちされた由緒正しいもので、地元の保存会が持ち回りでこの公演を毎晩行っているそうです。板張りの床に座って一時間、楽しく鑑賞させてもらいました。私は隣に座る彼女に自分のうろ覚えの知識で時々ボソボソと解説を試みましたが、彼女は凡その内容を知っており、まったく余計なお世話でした。
その後、宿に戻り、風呂を浴びてから昼に買っておいたワインを二人でちびちびとすすりました。風呂上りの体で板の間に肩を寄せ合い、ぽつぽつと話をしました。外は大雨。雨音がやけに大きく響きます。
大手術を終えたばかりの彼女、主治医から男女の営みの許可はもらっていますが、毎日一回だけ、という条件付だったんです。私達は午後、散歩に出かける前に既にこの『一回』を済ませていましたので、夜中の12時過ぎまで待って、と言われた私はおとなしく待っていた訳です。
待望の12時になり、布団の上で私達はまた愛し合いました。
私達は静かに、かつ深く結ばれました。彼女はこの時も自分の体のことを気にしていましたので、私は彼女とひとつになったまま、何度も繰り返しました。
「うん。すごく気持ちいいよ。すっごく濡れてて、包まれてるのが分かる。前とぜんぜん変わらないよ・・・」
彼女は自分の中でゆっくりと動く私の男根の感触に酔い、何度も絶頂を迎えました。手術のこともあり、私は彼女の反応に気をつけながら、激しい動きは避け、ただ彼女と一つになっている感覚を堪能しました。
やがて二人とも疲労がピークに至り、二人同時に達した後に裸のまま眠りました。
朝、目を覚ましたのは私が先でした。目を開けると彼女が向こうを向いて眠っています。裸の肩が見えていたので布団をかけてから体を起こし、しばし彼女の寝顔を鑑賞。不安のない、安堵したような寝顔です。大手術を終えて数週間には見えません。彼女は術後の強い薬を服用していた時期にはどんな顔をしていたんだろう、と思いました。あの頃も私に会いたい、と毎日メールに書いて送ってくれました。その時に一度も会いに来れなかったことは悔やまれますが、この旅行が実現したことには素直に喜びを覚えました。
やがて彼女は目を覚まし、お早うの挨拶の後、しばらく布団の中でじゃれ合いました。昨夜に今日の『一回』枠は消費しているので、朝のまぐわいは出来ません。それでもじゃれている内にお互いの体は反応します。やがて私が欲しくなった彼女は痛みもないし、次に会えるのはいつになるか分からないから・・・と私に挿入を促しました。
「ね、入れて」
「大丈夫?」
「うん。ゆっくり入れてみて」
私は不安でしたが既に隆起している男根をゆっくりと彼女に挿入しました。彼女は内部も既に十分に潤っていて、私を迎えてくれました。
「痛くない?」
「うん。大丈夫。もっと奥まで来て」
私はゆっくりと彼女の奥まで進み、彼女とまたひとつになれた喜びを味わいました。
「痛くない?」
「うん。奥が気持ちいいの。もっと突いて」
「大丈夫?」
「うん。お願い、もっと突いて・・・」
請われるままに私は彼女の奥深くを突きました。どうしたら彼女の負担を軽く出来るか、私には知識がありません。ならば彼女の望むように、喜びで応えよう。私はそう考え、奥まで突いて彼女を何度も絶頂に導き、最後に自分も達して二人同時に果てました。
その後、ひとつになったままで私は彼女の肌の温もりを慈しんでいました。彼女の顔、額、うなじ、耳、首筋に何度も唇を這わせます。
「気持ち良かった?」
「うん。すごく良かった。ベソさんは?」
「うん。良かったよ。すごく感じた。わしが感じてるの、分かったでしょ?」
彼女は嬉しそうに頷きました。
やがて、彼女は私の首を抱き締め、顔を見ないようにして言いました。
「わたし・・・」
一息於いて続けます。
「来月、また入院するの」
私の体が一瞬硬直するのを彼女は感じたはずです。今度は肺・・・ 薬で治療を試みた肺の悪性細胞は、効果が見られなかったため、肺の部分切除を行うための入院。見込みとしては良くないことを伝えられました。
彼女の闘病は優位に進んでおり、今後は薬による治療だけで勝利できる、と単純に信じていた私には衝撃でした。まさか・・・の思いを抱いている私に彼女は続けました。
「私ね、頑張るのに疲れちゃった。もう休ませて。」
余りのことに、私は言葉を見つけられません。彼女を見つめ、そして言いました。
「貴女が辛いのは分かる。薬の副作用で食事できなくなったことも知ってるよ。でもね、貴女には生きて欲しい。わしに会うことが励みになるなら、また会いに来るから・・・」
彼女の病気、実は予断を許しません。臓器を一つ摘出すれば済むものではなく、他の臓器を疑い、そして今後もずっと再発を警戒しなかればいけない生活が待っています。これからも入退院を繰り返す生活になることでしょう。
その見込みに対し、彼女は生への意欲を失いかけていました。愛するご主人から執拗に繰り返される、そしてエスカレートし続ける変態行為。それに対し何ら有効な対策を取れない自分。今回の病気も、そうした精神的な部分から生じ、拡大して行った部分が大きいもの、と私は考えています。
そんな中で、デジで知り合った私が最大の生きる希望を与えることになろうとは、何と皮肉な巡り合わせでしょう。本来は赤の他人に過ぎない私が、です。病院にまで変態グッズを持ち込み変態行為をしなければ気が済まないご主人。余所の家に嫁いだから、と積極的関与を避けようとする実の家族。義理の両親からは色々な支援を受けているようですが、彼女の生への希望を駆り立てるものではありませんでした。そこへほんの数ヶ月前までお互いの存在すら知らなかった私が現れ、彼女の心の隙間を埋める役目を果たした。何という巡り合わせでしょう。
私は繰り返し、今後の治療を積極的に受けるよう、彼女に語り掛けました。生きて欲しい。幸せになって欲しい。時々私と会うことがその幸せの一部なら、私はずっとそうしてあげるから・・・ それが私の本心です。それをそのままに告げました。彼女は嬉しそうな顔をしながら、しかし晴れることのない表情で私を見つめ返しました。
「ご主人の性癖についても、どうするか一緒に考えよう。まず、貴女が健康になって、普通に生活できるようにならなきゃ」
そして喫煙。彼女の父上も、ご主人も、場所をわきまえず煙草を吸うタイプだそうです。副流煙で彼女が健康被害、特に肺癌という事態になる、ということが分からない、または構わない人たち。私はこうした人たちを心底侮蔑します。自分の悪習慣が家族に壊滅的な健康被害を与えることがどうして理解できないのか。今されている以上の医学的な証明を見せろというのか。
現実に目の前の彼女は、父親、次いで配偶者の副流煙に長年晒された結果、こうして肺癌を患っています。やり場のない怒りに私は打ちのめされました。
(先日、ある喫煙女性のログに「煙草を吸う女性をどう思いますか?」という質問があり、そこに六、七人の男性会員がコメを残していたのを読んで吐き気がしました。いずれも気にしない、自分も煙草を吸うから、というものでした。
これが日本の喫煙者の意識レベルなら、人間など本来この程度のモラルしか持っていない生物としての失敗種、と諦めたくなります。
私はひとり、以下のコメントを残しました。
「男女問わず喫煙は迷惑です。人の飲み水に毒を撒いて周っているに等しい行為。迷っておられるならこの機会に禁煙を」
その人の一時の歓心を買いたいばかりに女性の喫煙を薦める男たち。それを読んで「安心しました」と納得する女。これでは日本の出生率が下がるのも当然です。
子供を生み、育てることが出来るのは女性の特権ではないのか。それを大変に傷付けることが医学的に証明されている喫煙という行為を、一時的に試した後、辞めるべきか迷っている若い女性に対して辞めろ、と言えない男の思考回路はどうなっているのか。)
裸で抱き合い、話をしているうちに彼女には私の気持ちが伝わったようで、積極的に治療を受ける、と約束してくれました。安心する私。
その後、部屋で風呂を浴びて朝のバイキングの時間にぎりぎり間に合わせて二人で朝食を摂りました。食後に部屋に戻り、荷物を片付けてからチェックアウト。昨日来た道を引き返します。
雨に霞む風景の中、私の運転で街に戻る私達。昨日と違い車中の会話は弾みません。彼女は夕方、ご主人が帰国する前に空港に着いていなければいけません。それまでは二人の時間です。
彼女の治療の件が重くのしかかり、言葉を失いがちになる私。先ほど抱き合いながら語りかけた言葉を私は繰り返しました。
やがて車は昼食の後に街に戻り、彼女と私は空港のターミナルでコーヒーを飲みました。向かい合って座り、じっと彼女の顔を眺める私に、彼女はまた見ないで、と言いました。
「今度はいつ会える?」
「仕事の都合つけて、また会いに来るよ。だからしっかり治療受けて」
そんな内容の会話が、この旅最後のものでした。彼女はご主人を迎えに行くため、席を立ち、私はそれを見送りました。彼女は振り返らなかったため、泣いていたかは分かりません。
二人きりの旅行。それが不倫と呼ばれようと、私は後悔していません。彼女の治療がひと段落したら、また時間を作って会いに来よう。私はそう思い、その場を後にしました。
(続く)
このウラログへのコメント
素敵な二人ですよね…★
彼女さん早くよくなるように心から祈っております…♪
いい出会いだったんですね。
ベソさんもつらいでしょうが、できるだけ支えてあげて下さい。
大変だし、これからも長いと思うけど支えてあげて下さい
私以上に大変な彼女、元気になって欲しい…
初めまして☆ 読んでて涙しました。運命的ですね…彼女をずっと支えてあげて下さいね!
絶望の淵を覗いた人にこそ、幸せになる権利があるはず…。
彼女を離さないであげて下さい。
ついつい最後まで読んでしまいました(*_*
頑張ってほしいです★
あれから15年。
早いものやね…
15年。
貴女はどうしているか。
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