いやらしメール

日記を綴りながら云々・・・と謳っていても、端的に言えばデジカフェは出会い系。
そこに登録しているということは、少なからずセクシャルな出会いを期待しているということです。
まだ見ぬ出会いを思い描いて、高鳴る鼓動を押さえながら登録を済ませてから、早くも半年以上の月日が流れました。しかし、エンドウさんがここで知り合った人の多くは県外に在住していまして、セクシャルな関係なんてまるで望みようがありません。
まあ、直接的な出会いを求めるよりも、好き勝手に書いた文章に興味をもってくれた人と気ままに交流するほうがおもしろいので、嘆くようなことではありません。

ただ、否定しきれない下心を見透かしているのか、いやらしいメールが送られてきます。
「彼氏と別れたばかりで寂しいの。激しくエッチしたい」とか、「男の人が感じてるのを見るのが好き。フェラさせて」とか、「Eカップのおっぱいが自慢だよ。おちんちん挟んでいっぱい気持ちよくしてあげる」とか。
君たちはそこまでえろっちいことがしたいんですか、はしたない！しかしそこまで飢えているのなら、不肖ながらエンドウさんがお相手いたしましょう。
なんて思うはずがなく、胡散臭い上に都合がよすぎるアプローチは話になりません。
プロフィールにおける性感帯なる項目に「乳首」と記入しているので、「乳首なめてあげようかぁ？」という甘ったるいモーションをかけられることもあります。ただ、ほとんど関東地方在住の方からなんですよね。
お前の舌は愛知県まで届くんかい！不気味な野郎だ、やれるもんならやってみろ！ってなもんです。

さて、いやらしいメールはデジカフェを通してのものに限らず、Yahooで取得したアドレスへも送られてきます。むしろ、こちらのほうが多いです。
まともなものはひとつとしてなく、全てがインチキ出会い系サイトへの誘導です。肉体関係を望んでいる旨の内容を送りつけ、私と連絡を取りたかったらこのサイトへ登録してね・・・というのがオーソドックスな形式となっているようです。
無料で出会えるエッチし放題と謳っていても、リンク先サイトの利用規約をよく読んでみると高額な料金請求が記載されていたりして、嘘ばっかりです。
手口がわかっている以上、どのような文面で誘惑をしてくるのかを期待するぐらいしか楽しみ方がありません。しかし、最近はタイトルだけを送信し、内容が読みたかったらサイトにアクセスしなければならないというパターンが多く、つまらない限りです。
そんな中、久しぶりに以下のようなメールが送られてきました。

Subject:Hだけの関係でもいい・・・
・・・人妻はだめですか？？
一晩だけでいい・・・相手してほしい・・・
最近、ずっと家にこもりっぱなしでストレスは溜まるし、
旦那は帰ってきてもかまってくれないので欲求不満なんです。
人妻だって遊びたい！！
まだまだ女でいたい！！！
私をもう一度女にしてください・・・・

この後にお決まりのごとく、URLが記されていました。
相手にするようなことではないのですが、エンドウさんは少しばかり暇をもてあましていました。その余裕と、妙な思い付きから、このメールへの返信を試みました。

Re: Hだけの関係でもいい・・・
人妻でもかまいません・・・というか、僕が焦がれる相手というのは皮肉なことに人妻が多いので、その点は全然かまわないどころか大歓迎でございます。
しかしながら、あなたの希望には応じかねます。
募った性欲を発散させる方法をセックス一辺倒にしてしまうことは下策であると思うからです。欲求不満を解消させるためには多面的なアプローチ、たとえば趣味に打ち込むなどして別の切り口から行ったほうが応用性もありますし、やりやすいのではないでしょうか。
それでもなおセックスを求めるならば、もしかしたら行為自体ではなく、それによって何か別の満たされないものを埋めようとしているのかもしれません。
セックスとは確かに相手の関心を引きやすいものですが、肉体ばかりに気をとられ精神へと目を向けてもらえない可能性が大いにあります。
ですから、今一度、自分が何を求めて関係を望むのかを見つめなおしてはいかがでしょうか。家事もせず、仕事もせず、食事と睡眠の場合を除いてひたすら眠るという療法をお勧めします。
それでもなお、セックスだけの関係を求めるというのならば、やはり僕はそれに応えることができません。なぜなら、その虚ろな関係は、あなたを女ではなく肉奴隷として扱ってしまうからです。
気持ちの通わない関係にとって、感情ほど無駄なものはないでしょう。あなたが思い描く女というものになりたいのなら、どうぞ見下げ果てるような獣性のもとへすがりついてください。

久方ぶりに胸をときめかせながら送信いたしました。
わかりきっていたことですが、どれほど待っていても返事が来ることはありませんでした。
まあそんなもんだよね！と思いながら、エンドウさんは再びいやらしメールを待つことにします。二度と相手にしませんが。