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【お題日記】誰かの引退試合観に行った事ある?いや?山岡家

2026年01月04日 21:28

​第1回 山岡家・サヨナラ引退興行
​誤解しないでいただきたいのですが しをのは山岡家を憎んでいるわけではありません むしろ この56年間の人生の要所で あの強烈な豚骨の香りに救われてきました あの店内に足を踏み入れた瞬間に鼻腔を突き抜ける香りは しをのにとっての「故郷の香り」にも似た安心感だったのです
​しかし 56歳という年齢は残酷です
かつては「プレミアムとんこつ・大盛り・脂多め・味濃め」という心臓への挑戦状のようなメニューを涼しい顔で完食し その足で仕事に戻っていたものです
​ですが 最近の対戦では 食後に訪れるのは満足感ではなく まる2日間続く重い胃もたれでした 鏡を見れば 自分の顔から滲み出るのは 加齢によるものか山岡家のラードなのか判別不能な謎の油分
その時 しをのは悟ったのです 「あぁ 56歳の胃袋という老朽化したスタジアムは もうこの剛速球を受け止めきれないんだな」と
プレイボール そして涙の最終回
引退試合のメニューは やはり原点にして頂点 「醤油ネギラーメン
券売機で食券を買う指先が わずかに震えます 店員さんに「お好みは?」と聞かれ しをのは最後のリスペクトを込めて 震える声で「全部普通で」と答えました これがしをのの引退試合 フェアプレーの証です
​着丼
相変わらずの表面を覆う厚いラードの膜 それはまるで 56歳の門出を祝うために敷かれたレッドカーペットのよう
まずはスープを一口
「……重い だが 抗えない」
ガツンとくる塩分暴力的な豚骨の旨味 脳が「これだよ!」と歓喜する一方で 内臓諸機関からは「おい 無茶するな!」と一斉にブーイングが上がります
​海苔をスープに浸し 豆板醤を乗せたライスを巻いて食べる この「山岡家コンボ」は しをのにとっての青春そのものでした
しかし 半分を過ぎたあたりで ついに「その時」が来ました
​箸が重い あんなに愛したはずの白髪ネギが 今は牙を剥いてしをのの消化器官に襲いかかってくる
額からは脂汗が流れ 視界が少しずつ歪んでいきます 隣で「中盛り・脂多め」を豪快にすする20代とおぼしき若者が まるで30年前のしをのを見ているようで眩しい 「あとは頼んだぞ…」心の中でバトンを渡しました
​「お疲れ様でした」の鐘が鳴る
​なんとか最後の一麺を飲み込み しをのは静かに天を仰ぎました
完食スコアは「胃もたれ 10 - 0 しをの」 見事な完敗です
​席を立つ際 しをのは心の中でカウンターに向かって深く頭を下げました
「わが山岡家に 一片の悔いなし!!」
​店を出ると 外の空気は驚くほど澄んでいました
服に染み付いた「あの匂い」が まるで引退セレモニーで受け取った花束のように いつまでもしをのを追いかけてきました
​引退 その後
​もちろん これは「レギュラーシーズン(=脂ギトギトを全力で楽しむスタイル)」からの引退であって 数年後に「マスターズリーグ(=朝ラーメン・脂抜き・梅干しトッピング)」として電撃復帰する可能性は否定できません
​でも しばらくは大人しく白湯でも飲んで過ごそうと思います
山岡家 56年間のうちの数えきれない夜を支えてくれて ありがとう
​君の放った「脂」の輝きは しをのの健康診断の結果の中で永遠に生き続けるよ

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