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決して告白はしない永遠の心の恋人

2024年08月15日 00:05

今夜はAさんにお食事をご馳走になった。
Aさんは20歳年上の70代の男性で、ひそかに「心の恋人」と思っている。
Aさんとはある趣味を通じて10年近くの交流がある。

Aさんは一度も結婚をしたことが無い。まじめに定年まで働きぬいて無駄遣いもしないのでそこそこのお金も持っている。70歳を超えても姿勢も良くお腹も出ていないし服装清潔感があってとても紳士的
お食事の時は、スマートに椅子を引いてくれたりする。

ご本人からは話しをうかがうと若いころ大きな恋をして結婚目前までいったけど成就しなかったそうだ。
その後、思いを寄せる人と出会うことがあってももう決して結婚しようとは思わなかったとか。
今は、3階の一戸建てに一人で暮らして自炊もしている。

Aさんの好きな映画は「カサブランカ」その映画がぴったりなダンディな方だ。

娘のように年が離れていることもあるのか、時々お食事をご馳走してくださる。
私はいつの頃からか同性の仲の良い友人にも話さないようなこともAさんに話すようになった。

夫以外の人を好きになってしまったこと。
私は、40代の時に本当に好きになってしまった人がいたのだが、
その人はAさんも知っている人だった。

その後何人もの男性とアプリを通じて知り合ったけれど、この最初の男性はリアルな世界で
知り合って本当にドラマのようなシチュエーションで恋が発展した。

男女の仲は短かったけれどこんなに人を好きになったことはないというほど好きだった。
その人に出逢うまでは子どもや家庭をまわしていくことに頭を使っていたのが
その人を好きになってからは四六時中、何をしていてもどこにいてもその人のことを考えていた。

恋しくて恋しくて胸が痛かったのだけど、本当に好きすぎて切なすぎると胸が痛くなるのだなあ、と実感した。

どんなに好きでも決してその人と堂々と太陽の下で手をつないで歩くことは叶わない。
どんなことがあっても他の人に知られてはいけない。

でもAさんだけにはなぜか話すことができた。
絶対に他の人にそのことを話したりしないという安心感もあった。

その後、私は他の男性ともつきあったり、ある男性とは相手の奥さんにばれてしまい裁判沙汰になったり、色々あったけれどAさんはいつも話しを聞いてくれた。

自分でもおろかだとわかっていた。
夫がいて子どもがいるのに、家庭のある人を好きになったり、複数の人とつきあったり夜を共にしたり、道に外れたことをしている、というのもわかっていた。
それでもその時はどうしようもなかった。

するかしないか、どちらも自分で選択できて、どちらの方が倫理的に正しいか、頭の中でわかっていてもそれでもどうしようもない。

私は、元々は不倫する人、夫婦以外の相手と遊ぶ人に対して冷ややかだった。

一生の愛を誓って結婚したのに人の家のだんなさん、奥さんとつきあったり、遊んだりするなんて
なんていい加減でだらしないんだろう。
そんな人のことは、許しがたいと・・・・

それが、自分でそうなってしまうと、わかっていてもどうしようもないことってあるんだな・・・と変に納得してしまった。

東野圭吾の何という小説だったかな。
冒頭がこんなセリフではじまったのがあった。

不倫するやつなんて馬鹿だと思っていた。 ... でも、どうしようもない時もある」

そうだ、「夜明けの街で」だったかな。

そう、そんなどうしようもない自分の話をいつも否定もせずお説教もせず、ただ聞いてくれていたAさん。
時には泣きながら話してしまうこともあったけれどAさんがいてくれたことがどんなにありがたかったことか。

Aさんとは色々なところでお食事をしたのだけど、
いつのまにかAさんと会えることが楽しみになり、Aさんのことを好きだな・・・と思うようになっていた。

性的な気持ちは無い。でも、お父さんに向けるような気持ちとは少し違う。

体格のいいAさん。
もしもそっと抱きしめてくれてその中で泣くことができたらどんなにここち良いだろうと想像することもある。

でも、たぶん、
Aさんは少しでもそのような態度を見せたら二度と会ってくれないような気がする。

手に触れることもない。
いつも適正な距離を保っている。

Aさんはとてもまじめな方だから私の行いを馬鹿だなあ、と思っているかもしれない。

でも、たぶん、きっと
Aさんも私に対して、娘とはまた違う感じを抱いているのではないかと思う。

他の人には話さないようなこともよくお話してくださる。

これからもAさんとの関係はこわしたくない。
決して失いたくない。

だからその適正な距離を縮めることはない。

だけど、ここでだけ言います。

Aさん、どうしようもない私の話をいつもあたたかく聞いてくれてありがとう。

Aさんのこと、とても好きです。大好きです。

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