【お題日記】夏の思い出といえば？

あれはそう、10年前の夏の事だった

いつもの出先からの帰り道、いつまでも続く暑さにうんざりしながら歩いていた

｢いつまで続くんだよ…｣

そんな愚痴をこぼしながら交差点の信号で立ち止まる

(早く青に変われよ…)

少しイライラしながら反対側の信号待ちをしている人達を見ていた


ふと、自転車に跨がった一人の少女が目に入った

遠くから見てもわかる程に、彼女は透き通るような白い肌をしていた

白いフリル調のＴシャツから伸びる腕も

デニム生地のショートパンツから伸びる脚も

まるで雪を連想させるように白く

逆に、肩程まで伸びた髪は闇のように黒く

より彼女の神秘的さを際立たせていた


信号が青に変わった事にも気付かずに僕は彼女を見つめていた

こちらに向かってくる彼女と一瞬目が合う

｢あ、あの！｣

つい声をかけてしまった

僕の横を通り過ぎようとした彼女が止まる

｢はい？｣

不思議そうにこちらを向く彼女

お世辞にも可愛いとも美人とも言えない彼女に、僕の心は釘付けだった

今にも空気に溶けてしまいそうな程、儚げな彼女の存在感

まるでスノープリンセス


僕は何も言わずに彼女を抱きしめた

｢え…｣

どう考えても僕の行動は意味不明だ

叫ばれて警察行きかな、と冷静になった時、彼女の匂いを感じた

｢あぁ…そうだったのか…｣


彼女がこれほどにまで透き通るような白い肌なのは…





驚きの白さ！





アタック





LIONから