「自分探し」とは？

「自分探し」という言葉が聞かれるようになったのは30年くらい前からでしょうか。
その頃から自己啓発本、自己啓発セミナーが爆発的に増えたように思います。

ですが、私は思うのでございます。
ここに居る私こそが私であり、
知らないどこかに「私」が転がっている分けなどないと。

経験を記憶し考察する、思考する私こそが私。
自覚していない部分があるとしても、それをどこに探しに行くというのでしょう？
全てはこの身に宿っているものだと思うのですが・・・。

自分の中にあるものは、分かるべきタイミングが訪れれば自ずと姿を現して参ります。
自己啓発本を読んでも、自己啓発セミナーに通っても、
それはその人には合っていただけの事でしかございません。
誰それは私のやり方を実践したら成功したなどと引用なさいますが、
万人に当てはまるなら世の中は成功者ばかりの筈ではございませんか？

就職してすぐの転職の理由に「自分がいるようなところじゃない」
と感じたからなどが挙げられるようになって久しくなりました。
これは「自分はもっと上の仕事が出来る人間の筈だ」
との考えから発言される場合が大変多いのですけれど、
さて、数ヶ月の経験でどれほど大きな学びを身につけられたのでございましょう？

基礎なくして堅牢な楼閣は建ちません。
将来やりたい事とかけ離れているから転職というのは理解できますし、
私も更なるスキルアップを図るために同じ職種の違う職場へ転職致しましたので、
悪であるなどとは微塵も思ってはおりません。

ですが、自分の経験は今ここに存在する心身に蓄積されるものでございます。
蓄積を基に試行錯誤を重ね、
より高みへと手を伸ばすのが自己研鑽ではないのでしょうか。
他人に教えられた道は所詮は他人の道であり、自分のものではないのです。

あなたという逸材は他の何処でもなく、あなたの中に存在しているのでございます。
眠れる獅子は我が身の内に潜んでおります。
「自分探し」は「自分の内を観察する事」ではないかと私は思うのですが、
皆様にとっての「自分探し」が他の意味であると認識されたのでございましたら、
それは自分の生き方は他にあるという確たる自覚でございましょう。

「我思う、故に我有り」
流されるしかない時であっても信念を曲げる事なく生きて参りたいと思っております。