メールの世界 ・ ポペアのベール

ローマ時代の皇帝、ネロの妻で、
ポペアという女性の話です。

彼女はいつも、顔の鼻から下を、
うっすらと透けたベールで覆っていました。

鼻、口元は、うっすらと見えますが
はっきりした輪郭はわからない。

人は、少しの情報を手掛かりに、
実態を想像するということを無意識のうちに行います。

ポペアのベールの向こうの顔も、
みなが自分の頭の中に無意識に想像しました。

この場合、人は心理として、
その人自身にとっての理想の姿を思い浮かべる性質があるため、

ポペアの顔は見る人によって、
その人好みの理想の姿として想像され、
ミステリアスな美女として語られることとなりました。

ポペアのベール越しにうっすらと垣間見られる理想の顔、

うかがい知ることのできる少しの手掛かりから、
想像力を膨らませて実態を思い描こうとして浮かび上がる理想の姿。

メールの世界に通じるものがあります。