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スポーツ特待生

2012年09月01日 00:52

とある高校運動部は、どれもが全国レベルの有名高校で、スポーツ特待生制度があった。
部活の監督やコーチも同じ高校の出身で、将来の安定感もあって、毎年たくさんの生徒が応募していた。
所属する部活の練習により、授業を免除されるのも公然の秘密であった。


だがある年、特待生制度が廃止されるきっかけとなった事件があった。


その年、入学試験に不合格だったものの、競技の成績が抜群で、将来有望な選手がいた。
監督およびコーチ陣がこぞって校長や主任教師に訴え、特別に再試験を行うことになった。

試験は面接で行われることになった。
口頭で質問し、生徒が答える。
合格するまで面接を行うため、実質無試験であった。


教室には、校長、試験教師、競技の監督とコーチ、生徒がいる。
主任教師が生徒に尋ねた。

「では、6かける7はいくつでしょうか」

生徒は長い時間沈黙してから答えた。

「42だと思います」

コーチが主任教師に言った。

「待ってください。もっと簡単な問題をお願いします」

監督がうろたえぎみに生徒に言った。

大丈夫。一問間違ってもまだ不合格じゃないぞ」


この年を境にスポーツ特待生制度は消滅した。

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