しあわせ

オレはほんの少しばかり、生きてきたから、幸せというものがだいたい分かるようになった。

幸せはわかりにくいが、不幸せははっきり分かる。貧乏、病気、被災、家族の不和。これらと反対方向にあるのは不幸せでないことだ。

不幸せの原因を潰していけば、不幸せならないようにはできる。

親は不幸の原因を作らないため、子に教育する。躾と社会ルールと知識を身につけさせようとする。

病気にならないように、丈夫な身体と健康に気をつけるようにする。

天災のために日頃準備をしておく。

相手をいつも尊重するように、親が子に接する。

これで不幸の大半は潰せる。

残りは、今度は子どもが自分で潰すほかない。

意に反して、失業したとき、意に反して病気になったとき、自分で子どもは解決しなければならない。

世の中の事情が許さなければ、努力はかぎられている。

災難は誰にでも必ず来る。


不幸せの原因を潰しているとき、オレはそれが幸せだと思っている。

親が子の不幸せの原因を潰しているとき、親はしあわせだと思う。

子が自分の不幸せの原因を潰しているとき、子はしあわせだと思う。